日本商工会議所は9月16日、「女性の働きたい意思を尊重した税・社会保険制度に関する提言」を取りまとめ、政府・政党など関係各方面に提出し、意見の実現を働き掛けた。
提言では、諸外国と比べて日本の女性の就業率が低く、働きたくても働けないさまざまな制約が存在すると指摘。働きたい女性の意志と能力、キャリアが生涯を通じて尊重される社会を構築するためにも、総合的かつ抜本的な就労支援策の拡充が必要と訴えている。特に、就労調整につながることから女性の活躍推進を制約する要因の一つとして指摘されている、いわゆる「103万円・130万円の壁」問題について、「配偶者控除の見直し」「社会保険制度の見直し」「企業による扶養手当見直し」の3つを求めている。
配偶者控除の見直しに当たっては、基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除を一本化し、所得額によらず税負担の軽減額が一定となる税額控除制度に移行することを主張。その際、夫婦どちらか一方に控除しきれない税額控除額がある場合、他方の税額控除に上乗せする仕組みを提示している。
社会保険制度の見直しは、社会保険(厚生年金、健康保険)の保険料負担により急激な手取り額の減少が生じる「130万円の壁」を最大限解消するため、世帯単位で見た手取り額の減少幅を縮小させる保険料負担の段階的減額など、制度改正や政策的措置を総合的に検討すべきと提案。また、世帯単位での手取り額の逆転に拍車をかけている企業の扶養手当については、なだらかな支給に変えていくための取り組みを後押しするインセンティブの付与などによる見直しを検討すべきとしている。