日本商工会議所は9月30日、9月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。9月の全産業合計の業況DIは、マイナス17・3と、前月からマイナス2・4ポイントの悪化。8月調査では、好調な観光関連産業や猛暑の影響による夏物の売り上げ増などにより3カ月ぶりに業況が改善したが、台風などの天候不順の影響もあり、一進一退の動きが続いている。調査期間は9月11~17日。全国422商工会議所が2985企業にヒアリングした。
日商では調査結果について、「好調な観光関連のけん引が続く中、住宅投資に加え、公共工事にも持ち直しの動きが見られる」と分析するともに、「好転」から「不変」への変化も押し下げ要因となったことに留意が必要と指摘している。一方、価格転嫁の遅れや人手不足、人件費の上昇が足かせとなる状況に変わりはなく、台風や大雨など天候不順の影響もあって、中小企業の景況感は地域・業種などによってばらつき、一進一退の動きが続いている。
業種別では、建設業は、住宅関連の持ち直しが続くほか、公共工事に動きが出始めるなど改善。製造業は、「好転」から「不変」への変化を主因に悪化したが、工作機械などは底堅く推移した。卸売業は、天候不順などを受け、青果物の出荷が鈍かったことなどから受注が伸び悩み、マイナス幅が拡大。小売業は、プレミアム付商品券による売り上げ増の声が聞かれるものの、台風などに伴う来客数減により悪化した。
サービス業は、人件費増が収益を圧迫しているほか、運送業では、青果物を中心に荷動きが乏しかったことなどから悪化。一方、インバウンドやシルバーウィークにより需要が伸びた宿泊業などでは堅調に推移している。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス16・5(今月比プラス0・8ポイント)と横ばい圏内の動き。観光需要の拡大や住宅・設備投資の回復、公共工事の持ち直しなどへの期待がうかがえる一方、家計負担の増大が消費者マインドを下押しする中、消費低迷の長期化を懸念する声も聞かれる。日商では、「コスト増加分の価格転嫁や人手不足などへの対応が遅れる企業では、先行きに対して慎重な見方が続く」と分析している。
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