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「下町育ちの再建王」の経営指南 デジタル情報でアナログ体験を呼び起こす

知識と教養の違いを、考えてみたことはありますか。

知識とはデジタル情報の蓄積のことで、教養とは自分のアナログ体験を知識に上乗せして、身に付けたものです。たとえ失敗体験であっても、経験したことが知識に上乗せされて一人一人の教養となるわけです。

営業とは、お客さまにデジタル情報を提供することと言えますが、目的はそれだけではなく、それによって、いかにお客さまにアナログ体験を思い出させるかが、ポイントとなります。

食を例に取って、おいしさを伝えるデジタル情報について考えてみましょう。『食べログ』や『ぐるなび』などのネットやマスコミの紹介、見た目の迫力、キャビアやフォアグラなどの高級食材の使用、作り手の知名度や技術、お客さまの嗜好(しこう)やイベントに合わせていること、雰囲気を盛り上げる装飾、産地や栽培方法など健康や美容に良い食材を使った、手間をかけた料理の提供、店やシェフが持つ思い入れ、こだわりの接客など、食の金額が高くなればなるほど、おいしいと思わせるには、文化的要素、知識とサービスの質の高さが重要になってきます。

では、お客さまのアナログ体験とは何でしょうか。ワイワイと楽しかった思い出、「うまい!」「おいしい!」と思った経験、接客の心地よさや感動、翌朝の体調や肌ツヤの良さなどが、食にまつわるアナログ体験です。

外食をする場合、人はアナログ体験で得た感動と同じものを求めますが、どこでそれが手に入るのか分からないため、店を選ぶときにはデジタル情報から探します。ですから、店側はできるだけ、お客さまにヒットするデジタル情報を提供しなければならないのです。

例えば、無理をしてでもキャビアを使うことで、ごちそうだと思ってもらおうとします。食材はピンキリですから、それが使われているからといって本当においしいとは限りませんが、デジタル情報によって、アナログ体験を思い出し、料理の価値を感じていただくわけです。

食だけでなく、ブランド品もデジタル情報効果で、価値を感じている場合が少なくありません。ルイ・ヴィトンやエルメスというブランド名を耳にすると、良い商品だと思ってしまいますが、実際に使ってみないと、自分にとって良い商品かどうかは分かりません。

店の外観や看板、HPやチラシのコピーやイメージは非常に大切なデジタル情報です。優れたデジタル情報が、それまでに蓄積されたアナログ体験を思い出させるのです。

営業も同じで、お客さまに伝えたデジタル情報が、お客さまのアナログ体験にどのように影響を与えることができたか、それが勝負というわけです。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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