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「下町育ちの再建王」の経営指南 長所伸展法で高齢者雇用を考える

湯の華は、温泉中の不溶性成分のことで、温泉地の土産物や入浴剤として良く売れるそうですが、温泉場では、同じ成分が澱(おり)となって配管にこびり付いて詰まるといった悩みもあるそうです。同じ物でも、ありがたい物にもなれば厄介な物にもなるわけです。

ワインにも澱があります。普通、この澱は飲みませんが、ある薬膳研究家は「ワイン独特の体に良い成分は澱にこそ含まれている」と、私が残そうとした赤ワインを最後の一滴まで自分のグラスに注いでいました。

長所伸展法に慣れている私は、高齢者の用い方にも同じことが言えるのではないかと考えています。年を重ねた人の特徴を長所として伸ばすことができないものか、と思うのです。

高齢化社会の弊害、高齢者の交通事故や介護・医療費の問題が毎日のようにニュースになっています。少子化に関しては予測不可能であったかもしれませんが、日本が高齢化社会になる事実は数十年前から分かっていたことです。政府は高齢化社会を乗り切る政策に頭を悩ますだけではなく、知恵や経験が集積された高齢者層をもっと有効活用することに、真剣に取り組むべきではないでしょうか。

職人や芸能界、思想界など特殊な業界では、経験を積むことで熟練よりさらに円熟味が増した、〝老熟〟の域に達している人を〝業界の宝〟などと表現します。俳優や落語家、学者は国に表彰されたりもします。私たちの周りの一般の高齢者にも、そういった価値のある方、もっと仕事をしてもらいたい方がいらっしゃるのではないかと思うわけです。秀でた職人でなくても、その人がいるだけで人が辞めなくなるとか、職場が明るくなるといった長所があれば、その人は〝職場の宝〟です。

競争に慣れ、頑張ることを常としてきた高齢者の文化レベルは、若者のそれを上回っている部分もあります。漫画やアニメ、ゲームなどの業界以外でも今、世界が注目している日本の魅力を培ってきたのは、これまで丁寧に生きてきた高齢者です。

もちろん健康状態は人により異なりますし、年を重ねるに従って身に付いた澱やあくがあり、扱いにくいところもあるかもしれません。高齢化社会の先頭を走っている日本社会でも現実に高齢化に直面してからは、まだ日が浅いので、高齢者の生かし方が上手ではありませんが、それでも、雇用する側とされる側の双方が歩み寄って、老熟した能力を社会に還元する取り組みが必要だと思います。

前向きに生きてきた人は、幾つになっても世の中の役に立ちたいと思っています。その思いをくみ取れば、どの企業にも〝高齢者を生かせる場〟が見つかるのではないでしょうか。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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社名:株式会社 風土

TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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