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「下町育ちの再建王」の経営指南 緊張と集中・トランス状態

練習ではいいパフォーマンスができるのに、試合になると十分に実力が出せないことがあります。アスリートでも、練習試合ではいいのに、ここ一番に弱いという選手がいます。

緊張し過ぎて、俗に言う〝頭が真っ白〟になってしまっては、本来の実力を発揮できません。

この状態を解決する最も簡単な方法は、呼吸を通じた自律神経へのアプローチです。呼吸は脈拍や体温と異なり、自分でコントロールできる生体保持機能です。ゆっくりと長く息を吐くことは、交感神経に影響を与えて効果的といわれています。

「集中!」という掛け声をスポーツ中継などで見かけることがありますが、最も目指したいのは、実はトランス状態だということを、私は身をもって体験しています。

1時間半の講演を行うとき、私は一つのテーマを15分として、六つの話で構成するなど計画を立て、ほとんど時間ピッタリに終わらせます。ところが、気が乗ってしまうと、一つの話題について30分以上も話してしまうときがあります。私の心の中では時間が止まっているような感じで、聞いている側も引き込まれていますから、講演後の評価も、そのときの方が高いのです。話を頭で考えず話したいことを話しているうちに、トランス状態に入っているのです。

野球選手が、打席でボールが止まって見えたとか、プロゴルファーがグリーン上にパットのラインが見えたとかいうのも、同じことだと思います。

私は船井総合研究所入所当時、赤面症の上に吃音(きつおん)症だったため、講演が大の苦手でした。入社半年目に1時間以上のセミナーで講師を務めなければならなくなり、大いに悩みました。うまくしゃべろうと思っても無理なので、今自分がしゃべりたいことをしゃべろうと決め、自分で考えた『購買頻度マトリックス』という法則について講演しました。実はその日の講演テーマとは無関係だったのですが、自信があるものが、それしかなかったからです。結果、その講演で予想外の高評価を得ました。うまくやるのではなく、今自分ができることを素直にやることで窮地を脱した経験から、赤面症と吃音症はなくなりました。

どうすればトランス状態に入ることができるのか。リラックスした上での集中は必須条件です。勝負どころでは、いかにこの境地に自分を導くかが大切です。

仕事のプレゼンテーションなども同じです、努力や練習を重ねて念入りに準備し、相手を説得しようとせず、自分の得意なことを説明してください。実力は必ず発揮できます。そして、もしかするとトランス状態への扉が開かれ、予想以上の結果を得られるかもしれません。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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社名:株式会社 風土

TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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