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「下町育ちの再建王」の経営指南 オワコン…雇用体系を考える

オワコンとは「終わったコンテンツ」の略で、元々は、一時期人気を博したアニメやゲームがユーザーに飽きられてブームが去ったことを指すネット上のスラングです。10年近く前にはやった表現ですが、ビジネス上の表現として私は今も便利に使っています。

激変の時代には、これまで当然と思われてきたこと(コンテンツ)が通用しなくなるスピードが速く、昭和世代の経営者が自分の成功体験を語っても、オワコンの場合が多々あります。

1500年までの世界は政治、価値観など全てのことを宗教が牛耳っていました。それが1800年代に起こった産業革命によって、重工業が始まった頃から、価値観は大きく変わり、金と金融がほとんどの力をコントロールするようになっていきました。昔は権力を持った一部の人と貧しい人に二極化していたものが、給料をもらう労働者が現れたことで、中間層という階級が生まれました。宗教は個人的なこととなり、パワーとしては7割くらいオワコンとなったのです。注目していただきたいのは、オワコンの反対側には大きなビジネスチャンスが眠っているということです。

近い将来、これまで人が行っていた作業の大半はAIがこなすようになり、タクシーもAI化されるでしょう。しかし、ハイヤーは根強く残ると思われます。「タクシーは物を運び、ハイヤーは心を運ぶ」ともいわれますが、AIの進歩によりいっそう価値を感じるのは、人の心を癒やす素晴らしい接客や温かい笑顔で、何よりもうれしい〝もてなし〟になります。移動手段としての存在価値は7割オワコンですが、接客業としての存在価値は急上昇しているわけです。

ホテルのAI化が一般化する一方、サービスに徹底的にこだわるリッツカールトンのようなホテルの人気は高まるに違いありません。

タニタ食堂で有名になった計測機器の大手メーカー・株式会社タニタの現社長、谷田千里氏は、私が注目している若手経営者の一人です。同氏は5年前に同社の雇用体系を変え、正社員のうち、希望した1割ほどを契約社員に変更したそうです。すると、定時が9時半から17時半までだった就業時間をフレックスタイムにして、8時から16時まで働き、17時からカルチャースクールに通う、ダブルワークをする、逆に残業代をもらって思う存分仕事をするなど、各人が自分の人生を自分らしく選択できるようになりました。これにより、ミレニアム世代の退職者が4分の1に減ったのです。

雇用体系の何割かをオワコンにすれば、優秀な社員が辞めなくなり、今までの人材不足を解消できる可能性があります。オワコン…考えてみてください。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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