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中心市街地活性化とコンパクトシティ Vol.5 わが国が目指すべき姿とは

バルウェル中心市街地

にぎわいが生まれるバルウェル地区

イギリス中部・ノッティンガム市にある4つの中心市街地のうち、最北端に位置するバルウェルを紹介しよう(下図参照)。

人口2万2405人のバルウェル地区の中心市街地は、市の中心部から7・2㎞の距離にあり、鉄道駅とトラム駅、バスセンターが近接して設置してある。同中心市街地には、図書館、コミュニティセンター、警察署、礼拝所、マーケットが整備されている。中心部は歩行者専用区域となっており、よく整備された商店街には最寄品小売業が25店、買回品小売業が40店、サービス業が41店、飲食店13店など135店の商業集積となっている。また、中心部には郵便局を併設したホームセンターがある。

この中心市街地の外れに食品スーパーが撤退した跡地があったが、ここに大手スーパーのテスコが売場面積5458㎡、駐車台数430台の大型スーパーを2009年に出店した。その結果、にぎわいはさらに増したので、4つの中心市街地(地域中心地)の中では最も上位に位置付けられるようになっている。

求められる適切な課題対策

わが国が直面する少子高齢化、人口減少、環境資源問題、財政問題、公共交通の衰退に対処するためには、多くの市町村は多極ネットワーク型コンパクトシティに移行せざるを得ない。

都市マスタープランで商業機能を適切に位置付け、その機能を多様な中心市街地群で分担して適切に果たすような都市マスタープラン作成が必要である。さらに、中心市街地間を公共交通でつなごうとするイギリスの取り組みは、多極ネットワーク型コンパクトシティ形成に大きな示唆を与えている。

しかし、残されている課題は非常に重い。多極ネットワーク型コンパクトシティ形成施策の中に都市機能や住宅を誘導する方向を強く打ち出したわが国であるが、これと車の両輪となる各種都市機能の立地規制は、依然として極めて不十分なままである。大店法時代のような大型店規制・商業規制ではなく、大型店の立地を適正に規制・誘導する全国的な政策が必要である。商業機能の立地を規制するイギリスのタウンセンター・ファースト政策のような新たな政策手段を早急に導入する必要があるだろう。それなしに、多極ネットワーク型コンパクトシティは決して実現しない。

横森豊雄・関東学院大学教授

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