日本商工会議所は9月17日、第131回通常会員総会をリアルとオンラインによるハイブリッド型で開催し、全国339商工会議所から会頭・副会頭ら約700人が出席した。総会の冒頭にあいさつした日商の三村明夫会頭は、新型コロナウイルスにより活動制約が残る中、中小・小規模事業者の事業継続へのきめ細かな支援の継続が必要と強調。今後新たな感染の波が発生しても経済活動レべルを極力落とさずに済むよう、感染拡大防止と社会経済活動を両立できる環境の整備を最優先課題として挙げた。
三村会頭は、7月豪雨や台風での被災者および新型コロナウイルス感染症により深刻なダメージを受けている皆さまにお見舞いを申しあげるとともに、コロナ禍で社会経済活動を支える「エッセンシャルワーカー」としての515商工会議所の役職員や経営指導員に敬意を表した。
その上で、中小・小規模事業者の多くが需要の蒸発という経験したことのない事態に見舞われ、その後も極めて厳しい経営環境に置かれていることから、引き続き中小・小規模事業者に対し事業継続のためきめ細かく支援することを求めた。今後さらなる感染拡大で再び緊急事態宣言という事態に陥れば、倒産や廃業が急増することにも懸念を示した。
日商では、社会経済活動維持の基礎的インフラである検査体制の拡充と医療提供体制の安定化を政府に要望。日商の意見が8月の政府の取り組み方針に反映されたことに関し、「国民や事業者が過度に萎縮することなく活動できる環境整備に向けて、取り組みの確実な実行を求める」と述べた。
一方で、長期化するコロナ禍では、「公助に頼るだけでなく、経営者自らがこの苦難を乗り切る、自助による取り組みも重要」と指摘。「従来型の経済活動が制約される中、新たな販路の開拓やビジネスモデルの見直しなども必要である」との認識を示した。
また、アフターコロナにも言及し、「今回のコロナ禍で学んだことを踏まえ、『変えるべきもの』を積極的に変えると同時に『残すべきもの』をしっかりと守り受け継いでいく」と表明した。具体的には、高まる「不確実性」への対処として、「デジタル」と「リアル」、「分散」と「集中」、「経済安全保障」と「グローバリゼーション」を意識した国家運営ビジョンの策定の重要性を説いた。中小企業の活力強化、新たな付加価値の創出については、環境変化への柔軟な対応支援、生産性向上へのデジタル実装、取引適正化の3点を中小企業が活力を高めていくための政策として挙げた。さらに、地元自治体との連携をより緊密化し、集積と分散のリバランスの観点から、地方移住促進や魅力的な地域づくりなど、地方分散型社会に向けた地方創生への全国の商工会議所のリーダーシップに期待を寄せた。
続いて、梶山弘志経済産業大臣からビデオメッセージで祝辞が述べられた。また、立憲民主党の枝野幸男代表、自由民主党の二階俊博幹事長、国民民主党の玉木雄一郎代表、公明党の山口那津男代表、日本維新の会の片山虎之助共同代表が来賓としてあいさつした。議事では、2019年度事業報告(案)および同収支決算(案)などが異議なく承認された。
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