日本商工会議所は9月24日、「多様な人材の活躍に関する調査」の結果を公表した。同調査は、生産年齢人口の減少が進み、女性・外国人・高齢者といった多様な人材の活躍が期待されている中、新型コロナウイルスの影響による雇用・就業環境の変化も踏まえた状況の把握が目的。
女性の活躍推進への対応については、女性の活躍を推進している企業の割合は81・5%に達しているものの、そのうちの約半数が「課題がある」と回答した。課題としては、「幹部(管理職・役員)となることを望む女性が少ない」(44・2%)、「女性の管理職比率が低い(向上しない)」(40・8%)、「出産・育児を機に女性社員が辞めてしまう」(27・6%)が多く挙げられた。「改正女性活躍推進法」(一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大(従業員数101人以上300人以下)、2022年4月施行)の名称・内容に関して、「認知が十分でない」企業の割合は76・9%だった。施行時期に関しては、68・2%の企業が「知らない」と回答した。「パワハラ防止法」(大企業20年6月施行、中小企業22年4月施行)の名称・内容に関して、「認知が十分でない」企業の割合は53・1%。施行時期に関しては、49・8%の企業が「知らない」と回答した。また、「男性社員の育児休業取得の義務化」に関しては、「反対」と回答した企業の割合は70・9%に達した。
外国人材の受け入れについては、「外国人材の受け入れニーズがある」と回答した企業の割合は48・7%と、依然として高い。そのうち、特定技能外国人を「受け入れている」「受け入れに関心がある」と回答した企業の割合は74・1%となった。政府が実施すべき受け入れ企業向け支援策などでは、「雇用などに関する手続きの簡素化」を挙げる企業の割合が50・2%で最も多い。次いで、「制度概要や受け入れ企業の要件、手続きに関する情報提供」(38・2%)、「外国人材の受け入れに関する相談機能の拡充(窓口相談)」(32・0%)という結果となった。
高齢者の就業機会の確保については、「改正高年齢者雇用安定法」(大企業・中小企業とも21年4月施行)の名称・内容に関して、「認知が十分でない」企業の割合は55・1%だった。施行時期に関しては、52・7%の企業が「知らない」と回答した。法施行により努力義務となる70歳までの就業機会の確保に関して、提示されている五つの選択肢のうち現時点で予定する措置では、「70歳までの継続雇用制度の導入」(56・4%)と回答した企業の割合が最も多い。一方、非雇用の選択肢では「70歳になるまで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入」と回答した企業の割合は17・4%だった。70歳までの就業機会の確保での課題は、「本人の体力的な面や疾病などの面で難しい」(45・4%)が最多。そのほか、「労災の増加が懸念される」(31・9%)、「若い年齢層の採用や活躍の阻害になる」(29・5%)などが挙げられた。
調査期間は7月16日~8月7日。393商工会議所の中小企業2939社から回答を得た(回答率48・9%)。
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