日本商工会議所は10月9日、「中小企業における新型コロナウイルス感染拡大・消費税率引き上げの影響調査」の結果を取りまとめた。消費税率引き上げや新型コロナウイルス感染拡大による売り上げへの影響、インボイス制度導入の準備状況などについて公表した。
消費税率引き上げ、新型コロナウイルス感染症の売り上げへの影響については、消費税率引き上げ後、33・2%の事業者の売り上げが減少したという結果になった。さらに新型コロナウイルスにより、83・7%の事業者が売り上げ減となり、今後の見通しについても約7割が減少すると回答した。
インボイス制度導入への準備状況・導入後の対応予定については、約7割の事業者がインボイス制度導入に向けて準備をしていないと回答。特に、「売上高1千万円以下の事業者」では約8割に上り、小規模な事業者ほど準備が進んでいないことがうかがわれる。課税事業者の約2割が「免税事業者との取引は一切または一部行わない」「経過措置の間は取引を行う」と回答し、免税事業者との取引を見直す意向を示した。免税事業者の約2割は「課税事業者になる予定」である一方、約6割の事業者は「まだ分からない」と回答した。
経理事務の状況については、「売上高1千万円以下の事業者」の約4割が経理事務を「全て社内で対応」するなど、税理士をはじめ外部専門家の関与がない。また、「売上高1億円以下の事業者」の約9割が経理事務を1人で担当していることが分かった。
電子帳簿保存法、電子申告に対応する際の課題については、いずれも「社内体制が不十分」との回答が約5割だった。電子帳簿保存法に関しては、「帳簿の作成・保存などに係る事務処理規定を作成できない」など、法律の要件を満たすことが困難との意見もあった。
消費税の価格転嫁状況については、消費税率引き上げ直後(2019年10月)には、前回(19年5月)調査時の見込みを上回る約7割の事業者で「転嫁できている」との回答があった。その一方、「全く転嫁できていない」と回答する事業者の割合も高くなっている。
事業者が採用している価格表示方法については、軽減税率導入後に「総額表示」を選択する事業者が4ポイント減少し、「併記」「外税表示」がそれぞれ微増した。
調査期間は6月29日~7月22日。各地商工会議所管内の会員企業3850社から回答を得た(回答率89・5%)。
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