日本商工会議所はこのほど、9月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、新型コロナウイルスによる経営への影響および事業継続計画(BCP)の策定状況について発表した。
新型コロナによる経営への「影響が続いている」は8月調査から3・1ポイント減少し、60・1%だった。2カ月ぶりに減少したが、依然として6割超と高止まりの状態が続く。「経済活動の停滞が長期化すると影響が出る懸念がある」と合わせて92・2%となった。
新型コロナの影響を踏まえた雇用・採用関連の対応に関しては、「雇用調整助成金を検討・申し込み」が6月調査から5・3ポイント増加の46・0%で最も多い。次いで「採用・派遣労働者の人数を縮小・見送る」が39・4%。厳しい経営環境下でも、「従業員の人員整理を検討・実施」は4・3%と引き続き低水準にとどまった。雇用調整助成金の特例措置が12月末まで延長されたことなどの政策効果もあり、雇用を守ろうとする中小企業の姿勢がうかがえる。
BCPの策定状況は、「策定済み」が2019年9月調査から0・1ポイント増加の14・6%、「策定中」が3・2ポイント増加の16・6%となった。「策定済み」または「策定中」と回答した企業におけるBCPの内容については、「自然災害などを想定したBCP」は71・1%、「感染症を想定したBCP」は46・1%だった。BCPを策定していない理由では「策定したいが、必要なノウハウ・スキルがないため」が51・8%で最多。「策定したいが、人的余裕がないため」が39・4%、「家族経営などで企業規模が小さく、柔軟に対応できるため」が27・2%で続いた。
BCPの策定状況は、前年調査から大きな変化はなく、策定済みと策定中の企業を合わせても約3割にとどまった。必要性を感じながらも策定に未着手の企業は約6割で、その多くはノウハウ・スキル不足を理由として挙げている。また、BCPを策定済み・策定中の企業においても、感染症を想定したBCPの整備を進めている企業は5割に届かず、自然災害などを想定したBCPと比べると整備に遅れが見られる。
調査期間は9月11~17日。全国336商工会議所の会員企業2088社から回答を得た。
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