政府は10月16日、第1回成長戦略会議を首相官邸で開催した。
同会議は、「未来投資会議」に代わり、成長戦略の具体策を議論するために新たに設置されたもの。議長に加藤勝信内閣官房長官、副議長に西村康稔経済再生担当大臣および梶山弘志経済産業大臣が就いた。有識者は、日本商工会議所の三村明夫会頭のほか7人で構成される。初会合には菅義偉内閣総理大臣も出席し、成長戦略の具体的な進め方について議論した。
会議に出席した三村会頭は「コロナを経験して、成長に対する新しい意味合いが加わった」との認識を示した。一つ目は、強い豊かな国でなければ国民を救えないこと。二つ目は経済成長と成長戦略が非常に重要になってきたこと。「パンデミックや自然災害、地政学的リスクといった不確実性に対して、経済・医療・食料の安保政策、都市集積に対する地方分散、自然災害に対する国と企業のBCPといった戦略的ゆとりを組み込む必要があるが、コストがかかる。その手段として日本の成長を担保するには、社会全体の生産性を向上させるしかない。一人当たりGDPが最適だと思うが、国民がそのような目標を共有することが重要」と指摘。大企業も中小企業も含めてどう生産性を上げるのかについて考える必要性に言及した。その上で、「生産性の向上があって初めて賃金の上昇がある。その逆ではない」と強調した。
また、産業分野別のデジタル実装や、中小企業のデジタル化も含め、社会全体のデジタル化を今後どのように進めるのか、デジタル庁がその中でどのような役割を果たすのか、総合的な取り組み方法の検討を求めた。
菅内閣総理大臣は、「経済財政諮問会議において経済財政運営と改革の基本的な方針を議論し、その方針の下、この成長戦略会議でわが国経済の持続的な成長に向けて、制度改正など成長戦略のための改革の具体策を議論してほしい」と述べた。今後の議論のテーマとして、ウィズコロナ、ポストコロナの世界におけるわが国企業の事業の再構築、生産性の向上、労働移動の円滑化、強靱(きょうじん)なサプライチェーンの構築、新しい働き方の実現、足腰の強い中小企業の構築を挙げた。そのほか、ビジネス上のイノベーションの推進、グリーン成長というエネルギー・環境政策の再構築なども想定している。
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