【基本認識】
◯中小企業における人手不足の傾向は継続する見込み。そうした中、人手不足の克服のみならずイノベーションの創出に向け、女性、高齢者、外国人材、障害者などの「多様な人材の活躍」が期待されている。
〇一方で、中小企業(※従業員数45・5~100人未満)における障害者の実雇用率は1・71%と、民間企業の法定雇用率2・2%には至っていない。中小企業において障害者雇用が進みにくい理由は多岐にわたるため、実態に即した障害者雇用に関する法律・施策の運用・実施が必要不可欠である。
1.法定雇用率の引き上げ(2・2%→2・3%)に係る政令(案)について
民間企業の法定雇用率は、2018年4月の政令改正により2・0%から2・3%へ引き上げられ、当分の間(施行日から起算して3年を経過する日よりも前)は経過措置として2・2%とされているが、厚生労働省から21年3月1日付で2・3%へ引き上げる案が示された。
先行きも見えず極めて厳しい経済状況に加え、中小企業の実雇用率が1・71%にとどまり、コロナ禍で障害者の業務は大幅に減少し「雇いたくても雇えない」状況が発生している。
こうした中であっても、法定雇用率が未達の場合には、障害者雇用納付金の徴収や、企業名公表などの行政指導の対象になることから、特に、中小企業に関しては引き続き適用を延期・猶予し2・2%に据え置くべきである。仮に、厚生労働省案の通り、21年3月1日付で2・3%へ引き上げるならば、以下に記載の障害者雇用に関する各種施策を強化・拡充していくことが不可欠である。
2.法定雇用率の引き上げに伴い強化・拡充すべき障害者雇用施策について
(1)ハローワークの機能強化
(2)障害者雇用ゼロ企業に対する提案型雇用支援の積極的な推進
(3)障害者の雇い入れに係る助成金の利用促進、中小企業に対するきめ細かい支援
(4)「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度」の幅広い周知
(5)障害者雇用における優良企業事例の幅広い周知
(6)障害者の定着や活躍に向けた支援の強化・拡充
3.その他、障害者雇用施策に関する要望について
(7)障害者雇用納付金の引き下げ
(8)除外率制度の維持
(9)障害者雇用未達成企業名の公表猶予
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