新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年3月以降の企業説明会の延期・中止や一部の企業による採用選考活動の取りやめなど、学生の就職活動に影響が生じている。
日本商工会議所は10月27日、2020年度および21年度新卒者などの採用維持・促進に向けた特段の配慮について、政府より要請された。要請内容は、①第二の就職氷河期世代を生まないとの観点から、2020年度および21年度の新卒者などについて中長期的な視点に立った採用を行うこと、②卒業・修了後少なくとも3年以内の既卒者は、新規卒業・修了予定者の採用枠に応募できるよう、改めて若者雇用促進法に基づく指針を踏まえた対応を行うこと。
政府はこれまで、日商をはじめとする経済団体に対し、多様な通信手段を活用した面接・試験の実施や、柔軟な採用選考日程の設定による募集機会の提供、内定を受けた19年度新卒者への配慮を求めていた。今後の施策として、新卒者などと採用意欲のある中小企業とのマッチング促進や、東京などの若者人材の移転支援を実施することにしている。
同日、日商の三村明夫会頭は、日本経済団体連合会の冨田哲郎副会長、全国中小企業団体中央会の森洋会長、全国商工会連合会の森義久会長と共に、坂本哲志1億総活躍担当大臣、萩生田光一文部科学大臣、田村憲久厚生労働大臣、長坂康正経済産業副大臣と都内で意見交換した。
その中で三村会頭は、「新型コロナによる影響は深刻である一方で、採用意欲の高い企業は依然として多い。中小企業はこういう変化の時こそ柔軟に対応することができる、将来性のある企業が多い。新卒学生の方々も、ぜひとも中小企業を就職先として選んでいただきたい」との意見を述べた上で、「第二の就職氷河期世代を生まないためにも、官民で連携を図りながら、引き続き中小企業の採用支援に取り組んでいきたい」と発言した。
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