日本商工会議所はこのほど、10月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、新型コロナウイルスによる経営への影響および同一労働同一賃金への対応状況、2020年度の設備投資の動向について発表した。
新型コロナウイルスによる経営への影響については、「影響が続いている」は9月調査から1・4ポイント増加し、61・5%だった。2カ月ぶりに増加し、依然として6割超と高止まりの状態が続いている。「経済活動の停滞が長期化すると影響が出る懸念がある」と合わせると、90・9%という結果になった。
同一労働同一賃金の対応状況に関しては、「対象になりそうな社員がいる」が13・2%となった。このうち、対応状況は「既に必要な対応は終えた」が18・1%、「具体的な対応に取り組んでいる最中」が27・7%、「具体的な対応が決まり、今後取り組む予定」が6・2%で、対応済み・対応中を合わせて52・0%となった。最も多かったのは「具体的な対応に関する検討をしている最中」で41・8%。同一労働同一賃金に対応できている企業は約半数にとどまることから、就業規則や賃金規定の見直しをはじめとした対応に苦慮している状況がうかがえる。
2020年度に設備投資を「行う(予定含む)」企業は41・6%と、19年10月調査からほぼ横ばいとなった。「見送る(予定含む)」は32・6%と、2・4ポイント増加。「現時点では未定」は25・8%と、2・9ポイント減少した。設備投資の規模としては、「規模を縮小して実施予定」と回答した企業が40・9%と最も多かった。設備投資実施企業は前年比横ばいの4割超であるが、投資規模は縮小傾向にあることが読み取れる。
設備投資の目的の上位3項目は「既存設備の維持・定期更新」が46・0%で最多。次いで「省力化・合理化」が40・3%、「能力増強」が31・9%となった。また、「新型コロナウイルス感染防止対策」は17・9%だった。企業からは、新型コロナウイルスの影響により先行きが見通せないという不安の声が多く寄せられ、設備投資は既存設備の維持・定期更新や感染防止対策にとどまるという結果になった。
調査期間は10月15~21日。全国335商工会議所の会員企業2150社から回答を得た。
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