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こんなときどうする会社の法律Q&A [今月のテーマ]就業制限となる感染症対応(下)

Q レストランを経営しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの感染リスクが高い業務に就く従業員の健康管理や、万一、その業務が理由で感染が確認された場合の会社としての対応方法について教えてください。

A 従業員の感染が業務に起因したものである場合、労災保険給付の対象になります。また、従業員の健康診断の実施について、労働安全衛生法によりその頻度と内容は定められています。ここでは、会社が行うべき労災保険の手続きへの助力や健康診断について、そのポイントを紹介していきます。

保険手続きへの助力

感染が確認された従業員について、感染が業務に起因したものであると認められる場合には、労災保険給付の対象となります。

労災請求手続きは、請求人(=感染した従業員本人)が行うものですが、一般的にこうした手続きの機会はまれであり、不慣れなケースがほとんどです。そのため、請求人が保険給付の請求その他の手続きを行うことが困難である場合、請求人の症状を確認しつつ、会社として請求書の作成などへの助力を行うこととされています。

労働者災害補償保険法施行規則第23条(抄)には、以下のように記されています。

1.保険給付を受けるべき者が、事故のため、みずから保険給付の請求その他の手続を行うことが困難である場合には、事業主は、その手続を行うことができるように助力しなければならない。(2.以下省略)

従業員の健康診断

法定の健康診断について、事業者は労働安全衛生法第66条第1項の規定に基づき、労働者の雇い入れの直前または直後に健康診断を実施することや、1年以内ごとに1回、定期に一般健康診断を行うことが義務付けられています。

また、労働安全衛生法第66条第2項および第3項ならびに、じん肺法の規定に基づき、有害な業務に従事する労働者や有害な業務に従事した後で配置転換した労働者に特別の項目についての健康診断を実施することや、一定の有害な業務に従事する労働者に歯科医師による歯科特殊健康診断を実施することなどが義務付けられています。こうした健康診断は、がんやその他の重度の健康障害の早期発見などを目的として行うものであるため、法令に基づく頻度で実施する必要があります。

感染防止対策について、感染症のまん延防止の観点から、健康診断実施機関において、健康診断を行う場の換気の徹底はもちろん、健康診断の受診者または実施者が触れる可能性のある物品・機器などの消毒の実施、1回の健康診断の実施人数を制限する方法が考えられます。また、法定の受診期限までに時間的な余裕がある場合は、可能な限り健康診断の実施時期を延ばすことも有効な方法です。実際に、今回の新型コロナウイルス感染症の急速な増加が確認された状況下では、十分な感染防止対策を講じた健康診断実施機関での実施が困難である場合には、これらの健康診断などの実施時期を一定期間延期する行政措置がとられました。

安全委員会などの開催

社内における安全委員会や衛生委員会については、感染症の拡大防止に向け、調査審議した上で自社に合った有効な対策を立てていくためにも可能な限り開催することが望まれます。

しかしながら、感染症の拡大防止のためには、従業員が集まる会議などはおおむね中止することが一般的となっている状況です。そのため、労働安全衛生法に基づく安全委員会などの開催についても、毎月1回の開催が定められているため、例えば、テレビ電話などのWebを利用したオンライン会議方式に切り替えるなど、代替措置を検討することが望まれます。 (社会保険労務士・田代 英治)

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