日本商工会議所はこのほど、2020年12月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、新型コロナウイルスによる経営への影響および20年度の所定内賃金(正社員)の動向について発表した。
新型コロナウイルスによる経営への「影響が続いている」は20年11月調査から1・6ポイント減少し、58・8%だった。2カ月連続で減少したものの、依然として約6割と高止まりの状態が続いている。「経済活動の停滞が長期化すると影響が出る懸念がある」と合わせると、90・0%という結果になった。また、感染再拡大の動きが見られる中、先行きを不安視する声も多く聞かれた。
20年度の所定内賃金については、引き上げを実施した企業(予定含む)は38・2%と、19年12月調査と比べて20・4ポイント減少した。そのうち、「業績が改善しているため賃上げを実施」は9・1%と、同調査から10・4ポイント減少しており、厳しい経営環境がうかがえる。
賃上げ企業を100とした場合の「業績が改善しているため賃上げを実施(前向きな賃上げ)」の割合は23・9%で同調査から9・4ポイント減少。「業績の改善が見られないが賃上げを実施(防衛的な賃上げ)」が76・1%で同調査から9・4ポイント増加した。
賃金を引き上げる主な理由は「人材確保・定着やモチベーション向上のため」が95・0%と最も多く、同調査と比べ4・2ポイントの増加となった。続いて、「最低賃金が引き上げられたため」が13・4%と同調査より13・6ポイント減少。「新卒採用者の初任給や非正規社員の給与を引き上げたため」が9・6%と、同調査より6・3ポイント減少した。
反対に賃金の引き上げを見送る・未定の主な理由は「今後の経営環境・経済状況が不透明なため」が83・3%と最多で、同調査より9・0ポイントの増加となった。次いで「業績の改善が見られないため(見込み含む)」が49・5%、「社会保険料の増加により会社負担が増えているため」が13・9%だった。企業からは、人材確保やモチベーション向上のために賃金を上げたいが、新型コロナウイルスの影響が長期化し、今後の見通しが立たない中、業績の改善も見られず、賃上げを行う余裕はなく経営が苦しいという意見が聞かれた。
調査期間は12月11~17日。全国337商工会議所の会員企業2086社から回答を得た。
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