経済産業省資源エネルギー庁は2月24日、第37回総合資源エネルギー調査会基本政策分科会をオンラインで開催。日本商工会議所の三村明夫会頭が出席し、エネルギー基本計画見直しに対して意見を述べた。
三村会頭は、2050年カーボンニュートラル(CN)実現に向けて3点指摘した。「第1は、達成すべき極めて高い目標であり、国および国民の強いコミットメントが必要。第2に、『3E+S』を前提に、現実的かつ合理的なエネルギー政策であるべき」と強調。「第3は、環境と経済の好循環が前提」とし、中小企業にとってエネルギーコスト上昇は経営上の圧迫要因となることから、環境性だけでなく、経済性を考慮したバランスの取れたエネルギー政策を求めた。
その上で、「エネルギー政策において、全てのエネルギー源には長所と短所があり、長所を生かし、短所を克服するために技術開発が必要だということを押さえておきたい。さまざまなエネルギーを選択肢として持ち、したたかさ(戦略性)と、しなやかさ(リダンダンシー、戦略的ゆとり)を組み合わせて活用することが必要」と主張した。また、電力の需要サイドには膨大な数の市民や事業者がいることを念頭に、再生エネルギー導入拡大のためのコストアップがどれくらいの負担増になるのか明示した上で議論し、国民全体でフェアに分担する方策を考えるべきと述べた。併せて、エネルギー自給率の低いわが国にとって、安全性を確保した上で原発の活用が必須であり、第6次エネルギー基本計画では、原子力発電の位置付けを明確化するべきと要望した。
2030年エネルギーミックスの見直しの検討については、コロナ禍における中小企業の状況ならびに国際的に見て割高な電力料金を踏まえると、エネルギーコストの上昇は産業の国際競争力低下につながる懸念があることから、「3E+S」のうち、安定供給、経済効率性に比重を置いたエネルギー政策を求めた。50年の脱炭素社会に移行していくトランジションとして、安定供給・コスト抑制を踏まえ、火力、原子力など多様なエネルギーがバランスよく活用される合理的かつ現実的な計画が提示されることに期待を寄せた。
エネルギー基本計画は、生活や事業活動に不可欠なエネルギーに関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進のために政府が定める。少なくとも3年ごとに検討する。