1.経済的苦境が続く事業者への支援の拡充
(1)飲食店の事業規模などに応じた時短要請協力金の制度見直し
◯真に困窮する中堅中小の飲食店などを対象に、確定申告データなどを活用し、事業規模や影響の度合いに応じた協力金を検討すべき。国においては、自治体による協力金支給に係る環境整備と地方創生臨時交付金の積み増しなどによる財政支援が必要。
◯感染予防対策に積極的に協力している事業者に対する協力金の上乗せを検討すべき。
(2)人の移動や活動制限の影響を大きく受けている宿泊、交通、イベント事業者などへの支援強化
◯事業規模や影響の度合いに応じ、家賃補助の上乗せや一時支援金などの支援の強化が必要。
(3)緊急事態宣言地域以外の事業者支援の強化
◯宣言対象地域外の真に困窮する事業者に対する支援制度の創設や一時支援金の対象拡充などが必要。
(4)資金繰りに困窮する事業者への対応強化
①年度末の資金繰り支援の強化 ※コロナ特別融資の据え置き期間が過ぎて返済が始まっている
◯据え置き期間の延長・返済猶予を含む既往債務の条件変更など、困窮する事業者の実情に応じた最大限の配慮が必要。あわせて、旧債務の借換ではない前向きな追加融資の推進、資本性劣後ローンの促進、アフターコロナに向け挑戦する事業者への経営改善・事業転換などへの支援を強化すべき。
◯中小企業の事業再生に向けた支援体制の整備、中小企業の実態に沿った私的整理ガイドラインの早急な策定、やむなく廃業を選択する中小企業が再起を図れるよう経営者保証ガイドライン(出口対応)に準拠した対応の徹底が必要。
②税や社会保険料の減免と納税資金の融資など
◯事業継続・雇用維持に係る事業者の固定費負担の軽減のため、固定資産税や外形標準課税や健康保険組合などへの財政支援を前提に社会保険料事業者負担分の減免が必要。
◯猶予されている租税や社会保険料など納税資金の融資を受けられる体制を整備されたい。
(5)雇用調整助成金の特例措置の延長、一般会計による財源負担の実施
2.迅速かつ円滑なワクチン接種の推進と医療提供体制の抜本的な強化
(1)ワクチン接種の推進、日本産のワクチンおよび治療薬の開発の加速化
①ワクチンの計画的かつ迅速な接種
◯ワクチンの安定供給に努め、自治体などと連携し、目詰まりなく計画的で迅速な接種を推進すべき。
◯国民の安心感の醸成のため、接種スケジュールや副反応などの適切な情報開示の徹底が不可欠。
◯感染再拡大リスクの高い地域から重点的に接種していくことを検討すべき。
②在留邦人のワクチン接種体制とワクチン接種証明書の発給体制の整備
◯国内に住民票が無い在留邦人が在外日本大使館や日本到着時の空港などで接種可能な環境の整備。
◯各国に遅れることのないようワクチン接種証明書発給体制の整備と、活用方策の検討が必要。
③日本産のワクチンおよび治療薬の実現
◯国家安全保障の観点から、日本産ワクチンおよび治療薬の早期開発・生産に重点投資し、1日も早い供給を実現されたい。
(2)地域医療連携による医療提供体制の抜本的な強化
◯変異株拡大が懸念される中、ある程度の感染拡大が生じても緊急事態宣言発令に至らず、活動を継続していけるよう、ワクチン接種の推進と併せて、感染が落ち着いているときに、病床の確保など医療提供体制の抜本的な強化を速やかに進めるべき。
◯保健所の体制強化、大都市部のコロナ専用病院の拡充とともに、重症・中等症患者の受け入れや回復患者の転院、自宅療養・待機者の支援など実効性の高い地域医療体制・役割分担の見える化が必要。医療従事者の確保や保健所負担軽減に資する民間委託などへの支援も拡充すべき。
(3)将来の海外往来の活発化を見据えた水際対策の徹底
◯入国者の待機・隔離用宿泊施設の確保とともに、入国時PCR検査など一段の対策の強化が必要。
◯COCOAの国内普及の再強化とともに、入国外国人への義務化など、入国後の状況確認が重要。
3.足元の経済回復に向けた道筋の提示
(1)科学的根拠に基づいた感染リスクとこれまでの対応効果などの具体的な明示
◯感染が再拡大(リバウンド)しないよう、国民や事業者の協力を得るため、科学的根拠に基づき、飲食や人の移動などの感染リスクやこれまでの対策効果を具体的に示すべき。適切な感染予防の下、活動可能な範囲を拡大していける、将来の予見可能性を高めていくことが必要。
◯地方都市も含めて変異株の疫学的調査やモニタリングを強化すべき。リスクの高い場所の検査や見えにくいクラスター対策も徹底し、感染拡大予兆の探知に努め、ガイドラインの深化・徹底で適切な感染拡大防止策や支援を講じ、地域の繁華街なども安心して利用できる環境を整備すべき。
(2)国民や事業者が希望を持てる将来への道筋の明示
◯検査・医療提供体制の拡充を図りながら、ワクチン接種の進捗(しんちょく)などを適宜フォローし、コロナを可能な限り制御し、活動レベルを徐々に引き上げ、オリンピック・パラリンピック後にさらに活動を活発化させる、経済回復への道筋を国民や事業者への力強いメッセージとして発出すべき。
4.地域の感染状況に応じたGo Toキャンペーン事業の再開と実施期間の延長
(1)感染状況が一定程度収まった地域からのGo Toトラベルの再開
◯感染状況が一定程度収まった地域(例えば県内・地域ブロック単位など)での再開を検討すべき。
・施策効果がより多くの事業者に行き渡るようにするため、年間を通じた需要平準化に資するよう補助率や補助上限額の見直しなどの制度改善を検討すべき。
(2)Go Toキャンペーン4事業の実施期間の延長
◯感染拡大防止の観点から施策の駆け込み利用の集中を避け、かつ、より多くの人が制度の恩恵を得られるよう、実施期間を延長すべき。特に、当分の間、インバウンド需要の回復が見込めない中、オリンピック・パラリンピック後を見越した需要喚起の継続を考慮した期間延長が望まれる。
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