日本商工会議所は3月9日、「ローカルファーストなまちづくりシンポジウム~地域の魅力を再発見し、魅力あるまちを育てていくために~」をハイブリッド形式で開催。東京・丸の内の会場70人、WEB175人の計245人が参加した。
同シンポジウムは、日商が今年度、国土交通省の補助事業の採択を受けて、まちを育て、再生を促進させるために取り組んでいる「まちなか育成・再生強化事業」の一環。地域の多様な主体が共有できる価値観・軸である「ローカルファースト」の考えを取り入れたまちづくりによって、地域経済の好循環を促すことを目的とする。
シンポジウムでは、多彩な講師を迎え、人中心・住民目線に立った豊かな暮らし、アフターコロナ時代の地方創生など、実現が望まれるまちづくりの方向性について、基調講演やパネルディスカッションなどを行った。あわせて、同事業の一環として作成したマニュアル「民間主導のまち育て・再生実践マニュアル~ローカルファーストの精神を取り入れる~」を公表した。
「ローカルファーストが地域を豊かにする」をテーマにした基調講演1では、日本総合研究所調査部の藻谷浩介主席研究員が、新型コロナウイルス感染症によって追い風となっている地方分散型社会・地域主導型のモデルの実践こそが、国際競争力のある豊かな地域を形成し、日本全体の経済・競争力を底上げすると指摘。地域のまちづくりなどにおいては、客観的なデータ・エビデンスに基づいた分析が必要であることや、地域内で地元産品を積極的に消費することで域内の経済循環の拡大を目指す「地消地産」の重要性について述べた。
基調講演2では、ジンズホールディングスの田中仁代表取締役CEO(一般財団法人田中仁財団代表理事)が、「民間主導のまちづくり~前橋における実践~」をテーマに説明。まちづくりに取り組むようになったきっかけから、同財団が中心となり、官民一体となって共創した前橋ビジョン「めぶく。」の策定の経緯と、ビジョン策定後の多様な主体を巻き込んだ持続可能な地域活性化のための活動などについて紹介した。
パネルディスカッションでは、「ローカルファーストなまちづくりを進めるために」と題して、ファシリテーターに和歌山大学の足立基浩副学長を迎え、パネリストに一般財団法人ローカルファースト財団の亀井信幸理事長(茅ケ崎商工会議所会頭)、田中氏、豊田まちづくり株式会社の河木照雄代表取締役(豊田商工会議所副会頭)、国土交通省都市局まちづくり推進課官民連携推進室の栗田泰正室長が登壇。
足立氏、亀井氏がローカルファーストの概念とその重要性について話した後、田中氏、河木氏から各地域におけるローカルファーストの取り組み事例とその課題について説明があった。続いて、栗田氏から同省の最近の施策動向について話し、最後に、多様な主体を巻き込む連携方法、with/afterコロナにおけるまちづくりの取り組みをテーマにディスカッションを行った。
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