日本商工会議所の三村明夫会頭は12日、来所した河野太郎規制改革・ワクチン担当大臣と新型コロナウイルスのワクチン接種問題などに関して意見交換を行った。河野大臣は日商に対し、産業医などによるワクチンの職域接種や「ワクチン休暇」の導入を要請。ワクチンパスポート(接種証明書)の活用などについても説明した。三村会頭は「ワクチンは、経済活性化の希望である」と述べ、可能な限り協力していく考えを示した。
河野大臣は、ワクチンの現状について、7月末までに高齢者全員に接種する方針などを説明。ワクチン接種を加速化する観点から、産業医や企業内診療所におけるワクチンの職域接種への協力を要請した。また、余力に応じて、当該企業社員のほか、近隣の高齢者などへの接種についても検討を求めた。
ワクチンの副反応への対応については、計画的な接種や、「ワクチン休暇」といった特別休暇の創設について各企業の実情に応じた対応を要請。各地商工会議所を通じた会員企業への呼び掛けなどの協力を求めた。
ワクチン接種が済んだことの証明書となるいわゆるワクチンパスポートについては、水際対策として不可欠との認識を示すとともに、自治体の協力により、まずは紙媒体の証明書発行を目指す考えを表明した。
三村会頭は、ワクチン接種の進展により、感染者や重症者の数が確実に減少し、感染の収束を見込んだ経済回復の動きが広がっている海外の事例を指摘。「ワクチンは、感染抑制とともに、経済活性化の希望である」と述べ、接種の加速へ河野大臣のリーダーシップ発揮を要請した。
ワクチン接種の「1日100万件」という政府目標については「分かりやすくて良い」と評価。接種迅速化に向けては、国民の不安払しょくのため、毎日の接種実績の開示や、打ち手の拡大、高齢者への予約サポート拡充、ワクチン接種に関するシステム一元化やデータ連携の拡充の検討などを要望した。
河野大臣から要請のあった産業医などによる職場での接種については、現役世代への一般接種の迅速化の観点から協力を表明。副反応のある社員のワクチン休暇の取得促進については、「安心して経営を進める上で優先的に対応すべき」と述べ、各社の実情に即した対応を促すなど可能な限り協力していく考えを示した。
ワクチン接種が済んだことを証明するワクチンパスポートについては、「国際往来や水際対策として発行システムの早期構築が必要」と指摘。国内利用についても、民間を活用して需要喚起につなげる方策の検討を求めた。また、国家安全保障の観点から、国産ワクチンの開発・生産・供給の実現が必要との考えを示した。
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