日本商工会議所の三村明夫会頭は13日、定例の記者会見で、今年度の最低賃金について、「足元の客観的情勢から考えて、今年度の最低賃金は引き上げをできる状況にない」として、政府・与党に現行水準の維持を直接求める必要があるとの考えを表明。「機会を捉えて中小三団体で共同して、関係大臣などに働き掛けていく」と述べた。
最低賃金の議論に際しては、「最低賃金制度はあくまでも労働者のセーフティネットであり、経済政策として用いるべきでないことは繰り返し強調しておきたい」と発言。「賃上げできる企業はぜひ上げてほしい」とした上で、「景気動向を示すデータを丁寧に読めば、今年度引き上げるというロジックはどこにもない」と述べ、経営状況や賃金支払い能力などデータに基づいた冷静な議論が必要との考えを示した。
雇用調整助成金の特例措置に関しては、「ぜひとも延長していただきたい」と述べ、財源問題については、「国費で補填(ほてん)してほしい」と要望。コロナ禍で雇用の維持に大きな効果のあった雇調金と従業員の雇用を守るという経営者の考え方に触れ、「日本全体の雇用に対するレジリエンスは極めて優秀」との認識を示し、「延長の必要性は政府も十分理解していると思う」と述べた。
前日に開催した河野規制改革・ワクチン担当相との会談に関しては、「接種がスムーズに進むことは、経済界にとっても、医療提供側にとってもメリットのある話だと認識している」と述べ、13日午前の東京商工会議所の常議員会で協力を要請したことを表明。今後、日商の会合などを通じて全国の商工会議所にも接種の加速化への協力を働き掛ける考えを示した。
最新号を紙面で読める!