政府は4日、第28回産業構造審議会総会を開催し、今後の経済政策の方向などを示した「経済産業政策の新機軸~新たな産業政策への挑戦」「今後に向けた大きな方向性(案)」などについて意見交換を行った。
総会に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「コロナ禍や、米中の対立激化によって、経済安全保障、気候変動対策、大規模自然災害対策、ワクチン開発、都市への人口集中など、さまざまな社会課題が顕在化している」と指摘し、「社会課題の解決」のためには「成長による強力な経済力」が必要との考えを表明。「両者は車の両輪であり、同時に達成することが求められる」と新政策の方向に注文を付けた。
また、中国に加えて欧米諸国も、大規模な財政支出を伴う強力な産業政策に転換していることを指摘。「新たな社会課題を解決し、次世代にしっかりとわが国を引き継げるよう、国がリスク負担を行い、民間投資を誘発する産業政策が必要」との考えを表明した。
産業政策の立案に当たっては、政策の理由と財政規律が重要との考えを示し、激甚災害に備えたインフラ整備やワクチンの国産化など、有事に備えたリダンダンシー(冗長性、余剰)、「戦略的ゆとり」を国として保有するために必要な財源確保に向け、「成長により強力な経済力を確保する必要がある」と主張。政府に対しては、「中小企業の環境変化に応じた自己変革能力、中小企業のイノベーションをぜひ活用し、後押ししてもらいたい」と要望した。
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