日本商工会議所は6月30日、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果とともに付帯調査結果を「今月のトピックス」として発表した。6月の付帯調査では、「2021年度の所定内賃金(正社員)の動向」などについてヒアリング。調査対象は、全国337商工会議所の会員2668企業(有効回答数2131企業、回答率79・9%)。
①2021年度の所定内賃金の動向(全産業)
賃上げ企業増加も7割超が防衛的
・2021年度に所定内賃金の引き上げを実施した企業(予定含む)は41・4%と、20年6月調査と比べ、3・4ポイント増加。賃上げ実施企業(予定含む)のうち、「業績が改善しているため賃上げを実施(前向きな賃上げ)」が26・9%と、同7・0ポイント増加した。
・一方、賃上げ実施企業の7割超を防衛的な賃上げが占めており、コロナ禍の長期化による中小企業の厳しい経営実態がうかがえる。
②賃金引き上げを見送る理由
経営環境不透明が4分の3超
・賃金の引き上げを見送る・未定とする企業の主な理由は、「今後の経営環境・経済状況が不透明なため」が77・5%と最多。次いで「業績の改善がみられないため」(45・3%)、「すでに他社と同水準(もしくはそれ以上)の賃金になっているため」(16・2%)の順で多くなっている。
・一方、賃上げを実施した企業の主な理由は「人材確保・定着やモチベーション向上のため」が94・7%が大多数を占めた。「新卒採用者の初任給や非正規社員の給与を引き上げたため」は10・0%だった。
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