日本商工会議は2日、第7回総合政策委員会(委員長=小林栄三日商特別顧問)を東京商工会議所と合同でオンライン会議形式により開催した。
会議には、日商の三村明夫会頭はじめ、委員会の委員を務める各地商工会議所会頭、副会頭ら約40人が出席。奈良商工会議所の乾昌弘副会頭(奈良市観光協会会長)と株式会社エンジンズの足立靖取締役から「地域資源とソフトパワーを活用した新事業創出〝奈良まもるつながるプロジェクト〟」と題して話を聞いた。
講演では、古都・奈良において、老舗企業と、デジタルを活用してソフトパワーを発揮するベンチャー企業が連携・協力し、伝統と新しさの共創で新事業を創出する取り組みなどを紹介。地域の伝統を守りながらも、新たな人的交流などを通じた地域活性化に向けた活動などについて意見交換を行った。
三村会頭は、観光振興や地方創生に向けた地域資源の活用について、「地域に存在する資源は、ただ単にそこにあるだけのものではない」と指摘。「新しい光を当て、新しい考え方で、新しい魅力を引き出す」ことも必要との考えを示した。
総合政策委員会では、6月の常議員会に2020年度の活動について報告書を提出しており、その中で、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済活動維持の両立を目指す各地の取り組みとともにウィズコロナ・アフターコロナの地方創生の在り方を考察。コロナ危機への適応とコロナ後を見据えた地域再生、「新しい生活様式」に対応した地方創生の取り組み事例などを盛り込んでいる。
具体的には、コロナ禍の各地商工会議所の多岐にわたる迅速な支援活動とともに、急速なデジタル化を地域経営変革の追い風とするための取り組みとして、大阪商工会議所のスマートシティ向けのサービスやアプリケーション開発を後押しする共同実験場「コモングラウンド・リビングラボ」の取り組み事例を紹介。多拠点化、多核化の進展を地域活力につなげる取り組みとして、阿波池田商工会議所(徳島県)の「企業研修型ワーケーション」の誘致活動、働き手の意識変容を人材確保・育成のチャンスとする動きとして、塩尻商工会議所(長野県)の農家と会員企業のマッチング事業などの事例を示し、「新しい生活様式」に対応した地方創生の取り組みの方向性を示した。
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