厚生労働省はこのほど、有識者で構成する「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」の中間取りまとめを公表した。中間取りまとめでは、「労働市場や労働移動の現状把握とエビデンスに基づいた外国人雇用対策」の重要性を強調。「関係機関の得意分野を生かした連携による対応」「文化ギャップの克服、長期キャリアを前提とした就労環境の整備」「雇用、労働市場の質を向上させるという積極的な視点」などの今後の方向性を示している。
中間取りまとめでは課題ごとに対応の方向性も示した。労働市場における外国人労働者について、在留資格別、国籍別(図表参照)などの一般情報に加え、より詳細に把握・分析する必要性を強調。「日本人との比較可能な統計などの新たな整備も含めて検討すべき」との考えを示した。
国際労働移動については、国際機関の活動などへの参画を通じて状況変化を把握するとともに、外国人労働者にとって日本の労働市場が円滑に機能するための職業紹介の在り方の検討などを提言。文化ギャップについては、職場で必要なコミュニケーション能力に応じた研修、文化ギャップを克服する就業体験の促進、専門人材の育成を求めた。
困窮外国人への支援に関しては、アウトリーチ強化や、帰国困難者が応募可能な短期求人を民間企業・職業紹介事業者に働き掛けるべきと指摘。職場定着に向けては、モデル地域に受け入れから定着までの一貫した支援を実証し、成果を周知することの重要性を強調した。
留学生の国内就職促進に向けては、大学とハローワークの連携協定の締結など、就職支援を強化し、成果を横展開すべきと提言。就活や職場定着のための研修用モデルカリキュラムの普及、キャリアコンサルタントの育成などキャリアアップの支援の重要性も盛り込んだ。
中間取りまとめでは、特にハローワークと多様な関係者との連携を通じた外国人支援策を提言。具体的には多言語での職業相談の体制整備や、地域コミュニティや学校、留学生団体などを通じた各種情報の発信を行うとともに、外国人を雇用する事業所ごとのデータベースを整備すべきとしている。
また、外国人向け求人開拓を強化することや、職場で求められるコミュニケーション能力の見える化を進めることで、マッチングの向上をはかるべきと提言。職場・地域への定着に向けた受け入れから定着までの一貫した支援、留学生の国内就職促進に向けた就職支援協定の締結や、留学早期からの就労支援なども提案している。さらに、親を含めた子どものキャリア形成支援の取り組みの試行実施も求めている。
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