日本商工会議所の広瀬道明特別顧問(エネルギー・環境共同委員長)は7月30日、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会に出席し、「第6次エネルギー基本計画(素案)」に対する意見陳述を行った。計画素案では、政府の長期目標である「2050年カーボンニュートラル」に向けて、30年度に温室効果ガス排出量を46%削減(13年度比)する目標達成のために、再生可能エネルギーを「主力電源として最大限導入する」との方針を提示。新たな電源構成では、現行目標の22~24%から36~38%に大幅に引き上げることなどが盛り込まれている。
広瀬特別顧問は、再生可能エネルギーについて、S+3Eを前提とした主力電源化には理解を示した上で、再生可能エネルギーの不安定性をカバーするバックアップ電源整備の必要性を指摘。防災・環境・景観への配慮、導入に伴う追加コストの国民への分かりやすい説明や適切な負担の在り方などについての十分な議論が必要との考えを表明した。
原子力発電に関しては、安全性を最優先させ再稼働を進める方向性を評価。「カーボンニュートラル実現を見据えれば、リプレース・新増設、運転期間の見直し、設備利用率の向上が必要」と要望した。
福島第一原子力発電所事故後の復興に向けたALPS処理水の海洋放出については、「地元理解を得ることが最も重要。風評に対する補償などの具体的スキームなどを放出前に作成・公表し、不安払しょくに努めてほしい」と強調。福島以外の県においてもきめ細かい支援策を講じるよう要請した。
2030年におけるエネルギー需給の見通しについては、「中小企業にとってエネルギーコスト上昇は経営圧迫要因であり、再生可能エネルギー拡大による安定供給・経済効率性への影響を懸念している」と主張。今回提示された「野心的な見通し」について、「より現実的・合理的な『地に足のついたエネルギーミックス』へ近づけるべく、計画に盛り込まれた施策を着実に遂行するとともに、目標に照らした不断の検証・見直しを行っていくべき」と述べた。
今後、政府はパブリックコメントの募集などを経て、計画を策定。今秋にも閣議決定する予定となっている。
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