ポイント解説付き 下請法活用事例 vol.5 「返品の禁止」規定の適用

わが国経済の好循環を実現するためには、「下請等中小企業」の取引条件を改善することが重要です。本コーナーでは、全国に設置され、電話やメール、ウェブサイトにより無料で相談できる「下請かけこみ寺」(本部:公益財団法人全国中小企業振興機関協会)に寄せられた「親事業者の4つの義務と11の禁止行為」に関する問い合わせの中から、参考になる事例をQ&A形式で解説します。

Q.A社(資本金:1000万円)はB社(資本金:8000万円)から染色加工を委託されていますが、B社は受領する加工品について受領時に自社では受入検査を行わず、A社に口頭で受入検査を委任していました。ところが、納品した3カ月後に、以前は問題にしていなかった色むらをB社から指摘され、当該色むらはA社の責任による契約内容不適合(不良、不具合、傷等)であるとの理由により、加工品が返品されました。

A社は納めている加工品について常に不良品を出しているわけではないものの、今後もB社と仕事を続けていきたいと考えていたため、返品を受け入れました。

しかし、A社としては、この返品に納得がいかないため、B社に受領してもらい、代金を支払ってもらいたいと考えているのですが、どのようにB社と交渉すればよいでしょうか。

A.A社とB社との取引内容は、染色加工の委託であることから「製造委託」に該当し、資本金区分も基準を満たしていますので下請法が適用されると考えられます。下請法上、B社が自社で受入検査を行っておらず、A社に口頭で受入検査を委任している場合には、その商品を返品することは「返品の禁止」の規定に違反する恐れがあります。仮にB社が自社で受入検査を行っていたとしても、今回のように検査基準を恣意(しい)的に厳しく運用し、従来であれば問題としなかった色むらについて契約内容不適合(不良、不具合、傷等)があるとして返品する場合には、違法な返品として問題になるでしょう。

ポイント

返品とは、受領した物品等を返して再び受け取らないことです。受領した物品等をいったん下請事業者に返しても、それを修補させて再納品させたり良品に交換させたりすることはやり直しに該当します。十分に協議し、双方で納得することが肝要です。

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