令和4年度税制改正に関する意見(概要) 2021年9月15日 日本商工会議所

基本的な考え方

○コロナ禍はいまだ収束のめどが立たず、中小企業は先の見通せない不安定な経営を強いられている。コロナ禍が自社の経営にマイナスの影響を及ぼしている中小企業は6割超。特に、飲食業、宿泊業、運輸業、観光業などは事業継続への努力が限界を超えている。今後、最低賃金の大幅な引き上げなどのさらなる負担増が見込まれるなか、経営者の心が折れ、倒産・廃業が急増し、地域における事業と雇用が失われることを強く懸念

○中小企業が再び事業活動を活性化するには、ワクチン接種を加速化させ、その効果を踏まえた社会経済活動正常化へのロードマップと、国民および困窮する地域経済や中小企業が将来に希望を持てる成長戦略を早急に示し、地域や中小企業の挑戦を大胆かつ強力に支援していくことが必要。特に、需要・消費意欲を大胆に喚起するとともに、中小企業の固定費負担の軽減に向けた支援が必要。また、ポストコロナに向けた、ビジネスモデルの転換やイノベーションの創出、生産性向上、DX推進などへの中小企業の果敢なチャレンジを強力に後押ししていくことも不可欠

○税制改正は、ポストコロナに向けた成長戦略への国民や事業者の行動変容を促す重要な意味を持つ。本税制改正を通じ、企業の繁栄、地域の再生、日本の成長の同時実現を果たすべき。

なお、財政健全化に向けては、安易な増税によらず、イノベーションや生産性向上などへの挑戦支援により持続的な経済成長を実現するとともに、社会保障制度改革などによる歳出削減への不断の取り組みにより実現していくことが必要

Ⅰ コロナ禍で困窮する中小企業等の事業継続・雇用維持を後押しする税制

<コロナ禍で蒸発した飲食需要などの喚起>

・コロナ禍による活動制約で困窮する飲食事業者などの救済に向けた交際費課税の見直し

・個人による飲食需要の喚起に向けた外食費控除(仮称)の創設

・地域の観光需要の喚起に向けたワーケーション促進税制(仮称)の創設

<中小企業などの事業継続・雇用維持>

・土地に係る固定資産税据え置き措置の継続

・コロナ禍の影響を受けた事業者に対する固定資産税・事業所税などの減免

・欠損金の繰越期間(10年間)の無期限化

・欠損金の繰戻し還付の対象期間の拡充

・地方税における繰戻し還付制度の創設

・納税猶予に係る延滞税の免除

<事業再生・再編の後押し>

・中小企業版私的整理ガイドラインの策定と私的整理が無税償却の対象となることの明確化など

Ⅱ ポストコロナへのビジネス変革などの挑戦を後押しする税制

<中小企業などの活力強化>

・デジタル投資を促す少額減価償却資産特例の拡充・本則化

・企業の前向きな設備投資を阻害する償却資産に係る固定資産税の廃止

・業績連動給与の同族会社への適用

・建物などの償却資産における減価償却方法の見直し

・「パートナーシップ構築宣言」に登録した企業に対する税制上のインセンティブの付与

・起業・創業の促進に資する税制措置

・中小企業のデジタル化促進に向けた税制措置の創設・拡充

・経営力向上計画に基づく再編・統合に係る登録免許税・不動産取得税の軽減措置の延長

・オープンイノベーション促進税制の延長・拡充

・企業のデジタル化を後押しする5G導入促進税制の延長

・産業競争力強化法に基づく創業者の登録免許税の軽減措置の延長

<地方創生の実現と内需の拡大>

・地方拠点強化税制の延長・拡充

・内需拡大に資する住宅関連税制の拡充(住宅ローン減税の延長・拡充など)

・民間のまちづくり意欲を引き出す税制措置

・所有者不明土地などの発生抑制、利活用促進のための税制措置

・商工会議所への寄附などの全額損金算入

<人材の確保・定着>

・新事業展開や生産性向上に資する人材投資

・後継者教育を促進する税制措置の創設

<中小企業の国際化支援>

・中小企業における海外子会社からの受取配当金の全額益金不算入の実現

Ⅲ 消費税インボイス制度への対応など

<消費税インボイス制度の導入凍結および中小企業のデジタル化促進>

・インボイス制度の導入は当分の間凍結すべき

・インボイス制度凍結の間、中小企業のバックオフィス業務のデジタル化を大胆に促進すべき

<消費税制度の見直し>

・軽減税率制度は将来的にはゼロベースで見直すべき

Ⅳ 円滑な事業承継の実現に資する税制

<事業承継税制の利用促進に向けた制度の改善>

・特例承継計画の提出期限(2023年3月末)の延長

・申請手続きの緩和(災害発生時における認定申請期間の延長規定の明確化など)

・制度適用対象の拡大(外国子会社株式の対象化など)

・制度適用後の不安解消(書類提出の不備等に対する宥恕規定の明確化など)

<事業承継の円滑化に資する税制措置>

・贈与税の暦年課税制度の維持

・取引相場のない株式の評価方法の抜本的見直し

Ⅴ わが国のビジネス環境整備などに資する税制

<デジタル化への環境整備>

・小規模事業者の電子帳簿促進のためのインセンティブ措置の拡充

・電子申告・電子納税など行政手続きのデジタル化の推進

<納税環境整備・納税協力負担の軽減>

・行政の効率化、中小企業の納税協力負担の軽減による社会全体での生産性向上

<中小企業の成長や経営基盤強化を阻害する税制措置への反対>

・中小企業の負担増につながり、成長を阻害するような炭素税などのカーボンプライシングの導入には反対

・事業者の納税事務負担を増加させる個人住民税の現年課税化には反対

・新規開業や立地促進、賃上げなどを阻害する事業所税の廃止

・時代に即していない不公平な税制である印紙税の速やかな廃止

・中小企業への留保金課税の適用拡大には断固反対

・外形標準課税の中小企業への適用拡大については、賃上げや地域経済に甚大な影響を及ぼすことなどから断固反対

Ⅵ 女性の活躍促進、子育て世代への支援拡充に資する税制など

・第3号被保険者制度の抜本的見直し

・公的年金等控除の見直しによる子育て世帯への支援の拡充

・事業主拠出金の安易な使途拡大や料率引き上げは行うべきでない

Ⅶ 国際的な法人税の見直しへの対応

・コロナ克服に向け海外展開に活路を見いだそうとする中小企業などに影響が及ばないよう十分配慮すべき

Ⅷ その他経済活動の活性化・国民生活の向上に資する税制(略)

<所得税関係>

・企業の株式発行・譲渡による資金調達力を強化するため、個人段階における配当二重課税の是正 (後略)

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