日本商工会議所はこのほど、「消費税インボイス制度」と「バックオフィス業務のデジタル化」などに関する実態調査の結果を取りまとめた。調査は、2023年10月に導入予定の消費税インボイス制度への中小企業における対応状況などをまとめたもの。事業者が発行する請求書の様式変更などが必要となるなどの課題に加え、制度導入後の免税事業者との取引の予定などについても調べた。
同時に、制度導入に有効な、経理や受発注といったバックオフィス業務のデジタル化の状況などについても調査。中小企業の対応の遅れが目立つ結果となっている。
インボイス制度導入への準備状況については、約6割の事業者がインボイス制度導入に向けて特段の準備をしていない状況。特に、「売上高1千万円以下の事業者」では7割超と、小規模な事業者ほど準備が進んでいない結果となっている。
インボイス制度導入に向けた課題は、「そもそも制度が複雑でよく分からない」が4割超で最多。「コロナで先行き不透明の中、制度を理解する余裕もない」といった声も寄せられている。
バックオフィス業務の状況については、「売上高1千万円以下の事業者」の3割超が、経理事務について税理士など外部専門家の関与なく全て社内で対応と回答。また、9割超が経理事務従事者1人しかおらず、そのうち、約75%は、代表者・役員が経理事務を兼務して行っている結果となった。
帳簿の作成業務については、「売上高1千万円以下の事業者」の約5割が手書き。受発注業務については、「売上高1千万円以下の事業者」では約8~9割が、電話、FAX、実訪といったアナログで対応している。
調査対象は、全国各地の商工会議所の会員企業で、回答事業者数は3812件(回収率88・6%)。調査期間は、2021年6月7日~7月2日で、調査方法は、経営指導員などによるヒアリングで調査している。
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