日本商工会議所は11月30日、11月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果とともに付帯調査結果を「今月のトピックス」として発表した。11月の付帯調査では、「1年前と比較したコスト増の状況」「コスト増加分の価格転嫁の動向」などについてヒアリング。調査対象は、全国337商工会議所の会員2626企業(有効回答数2030企業、回答率77・3%)。
1年前と比較したコスト増の状況
「コスト増」9割超仕入価格上昇77%
・1年前と比較したコスト増の状況について、「コストが増加している」企業は91・3%と9割を超えた。「コストが増加している」と回答した企業におけるコスト増の具体的な内容は、「仕入価格が上昇」が77・6%で最多。「燃料費・電力料金などが上昇」(57・8%)、「人件費が上昇」(41・6%)、「運送費が上昇」(30・6%)の順で多くなっている。
・関東地方の一般工事業の事業者からは、「仕入価格や燃料費、人件費の上昇のほか、設備機器の入荷待ちに伴う工期延長でのコストが増加。契約上、価格転嫁できず、収益が圧迫されている」との声も聞かれた。
コスト増加分の価格転嫁の動向
8割超が転嫁できず前年度比で2桁増
・消費者向け商品・サービス(BtoC)におけるコスト増加分の価格転嫁について、「全く転嫁できていない」企業は28・4%、「一部転嫁できていない」企業は54・1%となり、価格転嫁できていない企業は82・5%。2020年11月調査から15・9ポイント増加した。
・企業向け商品・サービス(BtoB)におけるコスト増加分の価格転嫁については、「全く転嫁できていない」企業は24・5%、「一部転嫁できていない」企業は60・4%となり、価格転嫁できていない企業は合計で84・9%。20年11月調査から10・0ポイント増加している。
・価格転嫁できない理由では、消費者の節約志向・低価格志向や競合他社との価格競争、長期契約の影響を挙げる企業が増加。「需要が減少しているため」との回答はBtoC、BtoBのいずれでも減少した。また、原材料費や燃料費が急騰しているものの、長引く消費者の生活防衛意識や取引先との関係悪化の懸念もあり価格転嫁が進まず、収益が圧迫され経営が苦しいといった声が寄せられている。
最新号を紙面で読める!