経済産業省と外務省はこのほど、日本企業のビジネスと人権への取り組み状況を調査した「日本企業のサプライチェーンにおける人権に関する取り組み状況のアンケート調査」の結果を公表した。調査は、昨年10月に策定された「ビジネスと人権」に関する行動計画のフォローアップの一環として初めて実施したもの。9月3日から10月14日まで、上場企業など2786社を対象に行い760社が回答した。
調査結果によると、「人権方針を策定している」企業は回答企業の69%、「人権デュー・ディリジェンスを実施している」企業は52%。一方、「外部ステークホルダーが関与する」企業は30%にとどまった。人権方針を策定している企業のうち「明文化し公表している」企業は59%、策定していない企業のうち1年以内および将来的に策定を予定している企業は21%だった。
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」と「人権デュー・ディリジェンス」の認識については、指導原則を知っているとする割合は65%、人権デュー・ディリジェンスは70%。人権デュー・ディリジェンスを実施していない企業の理由については、「実施方法が分からない」「十分な人員・予算を確保できない」「対象範囲の選定が難しい」が上位に挙がった。
被害者救済・問題是正のためのガイドライン・手続きを定めている企業は全体の49%。そのうち通報窓口を設けている企業は98%だった。人権に関する研修を実施している企業は63%に上った。
人権を尊重する経営を実践した成果として、最も多かったのが「自社内の人権リスクの低減」で、「SDGsへの貢献」「サプライチェーン上の人権リスク低減」「ESG(環境・社会・ガバナンス)評価機関からの評価向上」が続いた。政府・公的機関に対する要望としては、ガイドラインの整備・好事例の共有や企業への情報提供・支援などが挙げられている。
詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2021/11/20211130001/20211130001.htmlを参照。
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