日本商工会議所は2月8日、東京商工会議所と合同で第10回総合政策委員会(委員長・小林栄三特別顧問)をオンライン形式で開催した。委員会には三村明夫会頭はじめ、全国から34人が出席。岸田文雄首相が推進する「新しい資本主義の実現」に向けた成長戦略の重要な柱として打ち出した「デジタル田園都市国家構想」について、デジタル田園都市国家構想実現会議事務局次長の清瀬和彦氏と同会議メンバーで株式会社New Stories代表取締役の太田直樹氏から話を聞き、意見交換を行った。
政府は昨年12月、デジタル田園都市国家構想関連施策の全体像と目指す将来像などについて提示。デジタル基盤の整備については、5Gの人口カバー率を現在の3割程度から2023年度に9割に引き上げ、十数カ所の地方データセンター拠点を5年程度で整備し、光ファイバーは30年までにユニバーサルサービス化の実現を目指す。
地域で活躍するデジタル推進人材については、22年度に年間25万人育成できる体制を構築。26年度までに230万人を確保できるよう取り組み、地域づくりを推進するハブとなる経営人材を国内100地域に展開する目標を掲げている。
高齢者などデジタルに不慣れな層をサポートするデジタル推進委員は、22年度に全国1万人以上でスタートして順次拡大。そのほか、教育、医療、農業、物流など各分野で、国・地方・民間が協働して、デジタル実装を進めていく方向性が示されている。
三村会頭は、デジタル田園都市国家構想について、「地方には地方の課題があり、各地の課題をもう一度洗い出し、そのうち、デジタルで解決できるものは何かという整理が必要」と強調。また、さまざまな分野でデジタルの専門家が活躍する一方で、「全国的に中小企業の社内にデジタル人材が少ない点が問題だ。専門家は、それぞれの企業が抱える課題を知らない」と述べ、人材育成とマッチングの重要性を指摘した。
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