受賞プラン サブスク型で供養付きのお墓「偲墓(しぼ)」
代表者 野呂 英旦氏(松阪YEG)
◆供養の在り方が変化
・国内のお寺約7万7千(文化庁「宗教年鑑」)のうち、今後20年間で約2万7千が空き寺になるといわれる(日本仏教協会)。また、核家族化、少子高齢化、個人主義化などにより、お墓離れ、寺離れが進み、故人を偲(しの)ぶ供養の在り方自体が変化している。遺族の中には「墓石やお布施が高額」「墓参りの時間がない」「墓が遠方」「檀家になりたくない」などの理由で、お寺との付き合いが希薄になる人もいる。
・今後は、日本の死亡人口は伸び続けることが予想され、多くの人が先祖供養の問題に直面する。現在、前述の理由で自宅に遺骨を保管する人が増えており、今後の供養方法に関する問い合わせが増えている。このため、行く末の煩わしさを排除し、現代のライフスタイルに寄り添ったデザインを意識し、新発想の供養サービスを考えた。
◆低価格な墓石開発
・供養サービス付き墓石「偲墓」は、持続的な先祖供養を実現するため、「檀家契約」「お布施」「離檀料」など、受け入れ難い慣習を排除し、現代のライフスタイルに合わせた供養の形を考案した。このため、遺骨を埋葬することなく内部に納骨可能な低価格の小型墓石を発明するとともに、定額(月額3300円)で提携寺院が日々の維持管理を行い、提携寺院間の移動を容易かつ低価格で実現した。なお、墓の設置期間は利用者の意思で決めることが可能であり、契約終了後も合祀墓にて永代供養される制度設計とした。
◆13の寺院と提携
・従来型の墓石は特定の菩提寺に固定されることが多い。子や孫が移住をした場合、遠隔地の墓を継続供養するのは容易ではない。居住地に新たに墓を建立する場合も費用の問題や、将来の移住の問題があり、従来の墓そのものが現代生活にはなじまない場合が多い。
また、従来型の墓石価格は土地も含め100万円以上となることが一般的で、檀家料やお布施も必要となる。先祖供養をする意思があっても経済的な理由でお墓を建てられないケースも多い。
こうした課題解決のため、寺院・墓石店・仏壇店の3者が共同開発し、複数の寺院を提携寺院とするプラットフォームづくりと、移動が容易で低価格な墓石開発に成功した。昨年4月から普及活動に努め、13の寺院と提携。すでに一般の人から5件の申し込みも受け付けている。
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