厚生労働省はこのほど、「産業雇用安定助成金」の活用について、制度が創設された2021年2月5日から22年2月4日までの在籍型出向の状況・動向などを取りまとめ、公表した。この助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に、出向元と出向先の双方の事業主に対して助成するもので、1年間で1万440件の活用があった。
助成金の活用を企業規模別に見ると、出向元が中小企業の割合は約62%、出向先では同割合は約58%。中小企業から中小企業への出向が最も多かった(43%)。産業別では、コロナ禍による経済活動への影響を反映し、出向元は観光や交通が多く、出向先は物流を支える産業や非対面系の業務が多かった。活用事例としては、「仕事内容に親和性のある企業に出向して即戦力として活躍している事例」「異業種の企業に出向して受け入れ企業の人手不足解消や出向労働者のキャリア形成につながっている事例」などを紹介している。
在籍型出向のメリットは、助成金活用企業に対して実施したアンケート調査(21年8月厚労省調べ)によると、出向元企業では「労働意欲の維持・向上(63%)」「能力開発効果(59%)」、出向先企業では「自社従業員の業務負担軽減(75%)」「即戦力の確保(52%)」、出向労働者では「能力開発・キャリアアップ(57%)」「雇用の維持(46%)」を挙げる割合が高く、企業、労働者双方から高い評価を得ている。
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