日本商工会議所創立100周年おめでとうございます。心よりお慶び申しあげます。昨年はNHKの大河ドラマで商工会議所設立のエピソードが放映され、改めて商工会議所の歴史の深さに感銘を受けたところであります。
また、貴所100周年と同じくして、今年は佐賀市出身で明治維新期に活躍した大隈重信侯の没後100年に当たる節目でもあります。大隈侯は、2度の内閣総理大臣就任、日本初の鉄道敷設、通貨「円」の制定、私の母校早稲田大学の創設など数多くの偉業を成し遂げました。大隈侯の業績のうち、昨年発見された品川の高輪築堤は一部郷里に移築復元される工事が進んでいるところです。
当所の創立にも大隈侯の関わりがあり、1896(明治29)年4月25日に帰郷し、同月28日、佐賀市実業家有志の招待会で行われた「佐賀と実業」という大隈侯の演説がきっかけであったと言われております。当所も昨年創立125周年を迎えることができました。
地域に目を向けてみますと、佐賀は豊かな土壌の広大な平野、玄界灘・有明海という全く性格の異なる海を有する自然に恵まれた地域で、農産物や水産物などの食の宝庫です。佐賀牛、有明海苔(のり)をはじめとしたさまざまな全国ブランド品があります。
また、長崎と小倉を結ぶ長崎街道が佐賀を貫き、江戸時代には、当時貴重品であった砂糖を運んだことから「シュガーロード」とも呼ばれています。このことから、佐賀は菓子文化も栄え、現在も「丸ぼうろ」や「羊羹(ようかん)」は佐賀を代表する伝統菓子として受け継がれています。
地元経済の状況は新型コロナウイルスの感染拡大や原油高など外部要因によって不透明感が増し、多くの事業者が難しい舵(かじ)取りを強いられているのが実態です。
私が会長を務める佐賀銀行も今年3月で創業140年となり、事業者の経営の安定化や後継者問題への対応など地場の金融機関として果たすべき役割が数多くあります。その役割は商工会議所活動と共通するものが多く、行員が一丸となって商工会議所職員と連携し地元経済の浮揚のため日々努力しています。また、国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)の趣旨に賛同し、「佐賀銀行グループSDGs宣言」を2019年10月1日に制定しました。この活動は当行のみならず、地域の社会、経済が持続的に成長・発展することに貢献するよう、地元企業がSDGsに取り組む支援も行っています。
コロナ禍によって、事業活動のみならず私生活にもさまざまな制限が課せられ2年以上たちました。一日も早くコロナの呪縛から解放され、普通の生活に近づくことを願ってやみません。
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