日本商工会議所は4月21日、「次期国土形成計画および国土利用計画に関する意見~戦略的先行投資により、国民一人ひとりが豊かで安心・安全に暮らせる国土の形成を~」を取りまとめ、公表した。同日、荒木毅社会資本整備専門委員長(富良野・会頭)が国土交通省に青柳一郎国土政策局長を訪ね、意見書を直接手交。関係各方面にも提出し、意見の実現を働き掛けている。
「次期国土形成計画および国土利用計画」は、2015年8月の「第2次国土形成計画」の策定以降、国において6年ぶりに検討が行われているもので、今回の計画では、50年を見据えて「真の豊かさを実感できる国土」を目標とするなど、インフラの整備にとどまらない「国民の『生活』の礎となる国土の形成」が強く意識された計画となる見込み。日商では、社会資本整備専門委員会における検討や、各地商工会議所へのヒアリングなどを踏まえ、目指すべき国土形成の方向性や、取り組むべき施策について、21年6月に国が策定した「国土の長期展望」で示された三つの視点(「ローカル」「グローバル」「ネットワーク」)に沿って提言している。
「ローカル」「グローバル」「ネットワーク」の三つの視点の全てに共通する意見としては、「地域産業のアップグレード」「国土強靭(きょうじん)化」「東京などの都市一極集中の是正」などとともに、新たな潮流である「デジタル」「脱炭素」「多様な人材の活躍」について、国土形成の視点から提言。地域産業については、経済安全保障の観点から、企業拠点の国内回帰・地方分散の促進、国際的優位性のある新産業の育成などによる「戦略的ゆとり」の確保を主張している。
災害時に対するレジリエンス強化については、ストック効果を一層重視したインフラ整備の促進を、一極集中是正に関しては、多核連携型の国土形成、首都機能をバックアップする代替拠点の整備などを提言。デジタルについて、「データ連携基盤の整備」「地方でのデジタル産業育成」の必要性を主張するとともに、脱炭素社会への移行に向けた、地産地消型エネルギーや脱炭素エネルギーなどの供給拠点の整備促進や、多様なキャリアを持つ人材を引き付け、定着を促す地域づくりの推進を求めている。
詳細は、https://www.jcci.or.jp/news/jcci-news/2022/0421153000.htmlを参照。
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