日本商工会議所の三村明夫会頭は5月13日、新型コロナワクチン接種推進などのために来所した松野博一ワクチン接種推進担当大臣(官房長官)らと会談した。松野大臣は、全国の会員企業・団体などに対する従業員などへのワクチン接種の呼び掛けや環境整備について協力を要請。三村会頭は、全国515商工会議所を通じた会員事業者への要請について、「若者への接種の促進を中心に改めて呼び掛けたい」と応じた。
松野大臣は、新型コロナワクチンの職域追加接種などについて、経済団体や企業などの協力に謝意を表明。一方、全人口に対する3回目のワクチン接種率が50%台で、特に20代、30代の接種率が低い傾向にある現状を説明するとともに、「若い人でも重症化や後遺症のリスクがあるほか、高齢者を含む家族に広めてしまう可能性があるため、注意喚起をお願いしたい」と述べた。
また、企業の従業員が接種しやすい環境を整えるため、職域接種を進めるとともに、自治体と企業が連携した団体接種の取り組みの情報提供、各都道府県へのワクチンに関する相談窓口の設置、自治体の大規模接種センターを利用した企業の団体接種を受け入れるなど政府の取り組みを強化していく考えを表明。「日商には、都道府県の相談窓口の設置の周知、大規模接種センターでの企業単位の団体接種の利用やワクチン休暇導入の働きかけをお願いしたい」と協力を求めた。
三村会頭は、政府のコロナ禍で困窮する事業者に対する手厚い支援、足元の資源高、物価高、円安などの影響を緩和するための総合経済対策の取りまとめなどに感謝の意を表明。支援策の迅速な実行に期待を示した。
会員向けの要請については、東商など39商工会議所が3回目の職域接種に協力し、また、地元都道府県の大規模接種会場の紹介や企業単位での接種の呼び掛けなどをすでに実施している旨を説明。「各地商工会議所では、何度も会員に追加接種を促しているが、今回の松野長官の思いも伝え、若者への接種促進を中心に改めて呼び掛ける」と応じた。
また、「後遺症リスクやワクチン効果などを積極的に政府広報するとともに、水際対策への接種証明の活用など、若者が『追加接種した方が得』と思える環境・制度を整備していくことが重要」と強調。「接種率の目標を設定することも効果的ではないか」との見方を示した。
一方で、感染防止と経済社会活動の両立に関して、「過度にコロナを恐れて活動を抑制する(いわゆる)コロナマインドが経済回復の足かせとなっている」と指摘。政府として、「出口戦略」の早期提示と水際対策の適切な緩和を要請した。
最新号を紙面で読める!