日本商工会議所、松山商工会議所、愛媛県商工会議所連合会は6月1~3日、愛媛県松山市などで「全国商工会議所観光振興大会2022㏌えひめ松山」を開催した。全国147商工会議所・連合会などから981人が参加。59商工会議所などがオンラインで参加した。「地域の宝 磨いて興そう 観光聖地」をテーマに、初日に分科会と全体交流会、2日目に全体会議、最終日にはエクスカーションなどを実施。全体会議では、各地が観光振興に取り組む際の指針となる「えひめ松山アピール」を全会一致で採択した。
2日に開催した全体会議であいさつした日商の三村明夫会頭は、「2年以上にわたる外出や飲食の自粛によって、国民の間に、旅行や会食を避ける「『コロナマインド』が広く定着しており、観光再生の足かせになりかねない」と述べ、コロナマインドの早期払しょくと観光需要回復の重要性を指摘。政府に対しては、GoToトラベルの早期再開と観光目的の外国人に対する入国制限の緩和を求めていく考えを示した。
また、デジタル化の社会実装の遅れ、大都市や有名観光地への過度な需要の集中、地方部における観光消費単価の伸び悩みなどの日本の観光が抱えてきた構造的な課題解決の必要性を強調。観光によって、地域に人や消費を呼び込み、地域経済に持続的な好循環をもたらすために、「全国の商工会議所が一丸となって取り組もう」と呼び掛けた。
日商の篠辺修観光委員会共同委員長による「商工会議所における観光振興の取り組みについて」の報告の後に行われた基調講演では、俳人の夏井いつき氏が登壇。俳句甲子園の取り組みなどを紹介し、文化資源を磨き上げ、観光振興につなげて、地域の未来をつくることの重要性などを訴えた。その後のパネルディスカッションでは、「ポスト・コロナの観光振興 磨き上げと聖地化とは」をテーマに議論した。
全会一致で採択した「えひめ松山アピール」では、全国の商工会議所は「地域の再発見(ルネッサンス)に取り組み、観光の改革(イノベーション)を行うことにより、持続可能な観光を核として、地域を再生し、今後の発展につなげていかなければならない」と強調。各地の商工会議所が「観光の高付加価値化につながるビジョンの策定」「地域資源の発掘・磨き上げと地域内連携による付加価値の創造」「新たな需要を創造するためのマーケティングの推進」「ニューツーリズムの推進による地域経済への好循環と人づくり」に取り組んでいくことなどを盛り込んだ。
次回の大会は、2024年2月に茨城県水戸市などで開催する。
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