原町商工会議所(福島県、高橋隆助会頭・高良)と福島大学うつくしまふくしま未来支援センターはこのほど、南相馬市に立地する事業所の2021年度の経済状況に関する調査結果を取りまとめた。同調査は、東日本大震災後の企業の経営状況の実態を正確に捉え、今後の方向性を示していくため経済産業省の補助を受けて実施しているもの。昨年8~9月に、原町区、小高区、鹿島区の1794事業所(非会員含む)を対象に、調査票の送付によるアンケート形式で実施。530事業所から回答を得た。調査報告書では、結果を各区別にまとめて課題を分析している。
最も事業者数の多い原町区の調査結果によると、回答事業所の売上高は、震災前の2010年を100とした場合、震災前水準を超えているのは建設業とサービス業のみで、他の業種は震災前水準に達していない。また、18年以降4年間の売り上げは全体に減少傾向にあり、特に20年以降は、コロナ禍によりさらに低下している。今後2年間程度の売り上げ・採算の見通しについては「悪化する」とする回答が最多。事業所が抱える問題については「顧客の減少」が最も多く、続いて「受注の減少」「労働力不足」「資材・燃料費の高騰」だった。事業承継については、4分の3の企業が事業承継を希望しているが、そのうち、43%の事業所が後継者を決めていない。廃業を検討している企業は9.9%だった。
同調査では、南相馬市の直面する課題として、復興事業のピークアウトに伴う地域経済の縮小、景況感の悪さ、後継者育成の遅れなどを指摘。同所では、調査課題を踏まえ、今後行政への要望活動などを行うとしている。
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記事提供: 日本商工会議所
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