秦野市は江戸時代からたばこの栽培で知られるまちだった。先人たちをしのび、伝統を後世に残すために「秦野たばこ祭」が毎年開催されている。「火おこし」はたばこ祭の中で行われる〝ジャンボ火おこし〟から名付けたもので、その名から想像できるように辛くてピリッとしたおこし。
大きさは手のひら大。一般的なもち米ではなく、うるち米と黒ごま、さらに名産の落花生のおこしで、赤いものがチラチラ入っているのが分かる。まるで炎のようだが、これが唐辛子! ほのかなおこしの甘さの中に辛さが混じって、何ともくせになるうまさだ。落花生も大きい粒のままゴロゴロと入っており、迫力満点。
うるち米のおこしなのでしっかりと硬い。食べ慣れたおこしよりかなり硬めである。歯の悪い人は、もしかしたらかめないかもしれない。でも、しゃぶるだけでも味は上等。全国を探してもほかにない、感動的なおこしと知るはずだ。
芳甘菓豆芳の横溝努社長に「火おこしが大好物」と伝えたら、当然だろうとばかりに「ハハハ」と大声で笑った。現代の若者はあまりおこしを食べないそうだが、一度味わってほしい。繰り返すが、まっことくせになるうまさ。ビールのつまみにも合う。
Data
社名:有限会社芳甘菓豆芳(ほうかんかまめよし)
所在地:神奈川県秦野市平沢726-1
電話:0463-84-5110
【秦野商工会議所】
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