公益財団法人アイヌ民族文化財団が運営する北海道白老町のアイヌ文化の復興拠点「ウポポイ(民族共生象徴空間)」は今年7月、開業2周年を迎えた。コロナ禍の影響により厳しい運営を余儀なくされたものの、感染対策とプログラムの工夫などにより2年間で52万人超が来場。アイヌ文化への関心の高さをうかがわせた。2周年を記念して7月16~18日に開催した特別イベントにも、5700人超が来場。夏季期間中も引き続き「夜のウポポイ」をはじめとする多彩な催しを用意し、アイヌ文化の魅力を発信する。
北海道の名付け親 パネル展など好評
ウポポイは、アイヌの歴史・文化を伝えるナショナルセンターとして設立。国立アイヌ民族博物館をはじめ、ポロト湖畔に体験型フィールドミュージアム「国立民族共生公園」が広がり、体験交流ホールや工房、アイヌの伝統的生活空間を体感できるチセ(家屋)群などが点在する。各施設では、常時さまざまな体験プログラムを実施しており、アイヌの世界観、自然観などを学ぶことができる。
2周年特別イベントでは、「北海道みんなの日」(7月17日)に合わせて北海道の名付け親とされる幕末の探検家、松阪(三重県)出身の松浦武四郎にちなんだパネル展を松阪市と共催。会場のエントランス棟には多くの人が訪れ、興味深くパネルを眺めた。会場では、松阪市長と松浦武四郎記念館の山本館長による松浦とアイヌの人々との交流などを紹介するミニ講座や、松阪市の特産品販売も実施した。
また、同日行われたカムイ(神)に感謝の祈りをささげるアイヌの伝統儀式イヨマンテを表現した特別公演「イノミ アイヌの祈り・歌・踊り」もほぼ満席となるなど好評を得た。
3日間の来場者数は5740人。1日平均1913人と、開業以降の土日祝日の平均約1100人を大きく上回った。ウポポイ運営本部誘客広報部広報課の矢原誠課長は「多くの方にご来場いただき、大変感謝している。より多くの方にアイヌ文化に触れていただけるようプログラムの魅力向上・充実に努めたい」と話している。
夜の企画に注目 見どころが多数
今夏は夏季限定企画として「夜のウポポイ」と題したイベントを開催。体験交流ホールでは、アイヌに伝わる創世神話のダイナミックなプロジェクションマッピングショー「カムイ シンフォニア」を実施しているほか、電飾された工房前のテントでポロト湖の夕日などを眺めながら限定グルメを味わえる「ナイトカフェ」、チセのライトアップなどが行われる。
7月23日~8月28日は、ウポポイ入場チケット購入者を対象に、ウポポイ内の飲食店やショップで夜間のみ使用できるプレミアム付き商品券を限定販売。2000円分を1000円で販売するのでお得だ。また、北海道新聞との共催による「ウポポイフォトコンテスト2022」も作品を募集している。
なお、北海道商工会議所連合会などの経済界、行政、道民などによる「ウポポイ官民応援ネットワーク」でも、オール北海道で開業2周年を迎えたウポポイ応援の輪を広げる活動を推進している。
ウポポイの詳細は、https://ainu-upopoy.jp/を参照。
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