日本商工会議所の立野純三中小企業委員長(大阪・副会頭)は7月28日、角野然生中小企業庁長官と懇談し、日商がこのほど取りまとめた「2023年度中小企業・地域活性化施策に関する意見・要望」を直接手交し、要望内容の実現を強く要請した。特に緊急な対応が必要な事項として「物価高騰に伴うコスト負担増やコロナ禍克服への対応」の重要性を強調。「中小企業の自己変革・生産性向上に向けた支援」や「ウィズ/アフターコロナの持続的成長・競争力強化に資する政策」「中小企業の活動を支える事業環境整備」「地方創生の再起動」「大規模自然災害からの早期復旧・復興、東日本大震災からの復興・創生」についても、来年度の政府施策に反映するよう要望している。
立野委員長は、新型コロナウイルスの影響の長期化に加え、国際情勢の緊迫化や原油・原材料・食料価格高、円安などによる物価高騰などの厳しい経済情勢を指摘するとともに、「物価高騰に伴うコスト負担増やコロナ禍克服への対応」を緊急要望事項として提示。特に「物価高騰による事業者への影響を抑える取り組み推進」「円滑な価格転嫁に向けた取り組み推進」「経済活動の活性化に向けた水際対策のさらなる緩和」「観光関連産業の経営基盤の再生・強化」「コロナ禍の影響を強く受けた中小企業などの事業継続への支援」の5点を示し、今年度中の執行も含め、柔軟な対応を強く求めている。
23年度施策については、中小企業の自己変革、生産性向上に向けた支援策などの重要性を強調。今後も物価高騰が続くことが想定される中、中小企業が収益を確保するため、「パートナーシップ構築宣言」のより一層の普及と、宣言の実効性確保に向けた取り組みを要請した。
また、これまで講じられている資金繰り支援や「中小企業活性化パッケージ」の推進のほか、「商工会議所の経営相談体制の強化」などを要望。消費税インボイス制度については、十分な検証と国が全面に立った周知徹底などを求めている。さらに、2025年大阪・関西万博への中小企業の参画機会確保や、大規模自然災害からの早期復旧・復興への支援についても要請した。
要望書を受け取った角野長官は、円滑な価格転嫁に向けた取り組みについて、「最優先の課題」との認識を示すとともに、資金繰り支援、中小企業活性化パッケージの運用についても、しっかりと取り組んでいくとの考えを表明。「いただいた意見・要望を踏まえて、今後の予算と政策の実現に向けて取り組みたい」と述べた。
意見・要望書の詳細については、https://www.jcci.or.jp/cat298/2022/0721140000.htmlを参照。
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