日本商工会議所は9月15日、第135回通常会員総会をハイブリッド形式で開催し、全国の427商工会議所から会頭・副会頭ら約1000人が出席(オンライン含む)した。総会の冒頭にあいさつした日商の三村明夫会頭は、「成長と分配による好循環を推進する最大のエンジンは、雇用の7割を占め、地域コミュニティを支える中小企業・小規模事業者の活力強化にほかならない」と強調。「われわれ商工会議所が取り組むべきは、企業の自己変革力を育て、地域および日本全体の成長力を強化していくことだ」と述べ、国に対しては、民間の挑戦を支える成長基盤の整備を強く求めた。
三村会頭はあいさつで、足元の物価上昇について、「コロナ禍から内需回復を進める上ではネガティブな要因だが、わが国経済が、諸外国並みの経済成長、物価上昇、賃金上昇の好循環へと向かう役割を果たす契機と捉え、対策を講じるべき」との考えを表明。また、「今回のコロナ禍は医療安全保障を、ウクライナ問題はエネルギーと食料安全保障を、米中対立は経済安全保障の必要性を、われわれに認識させた」と述べ、経済安全保障については、「自由な経済活動と安全保障との両立を図るよう政府に求めたい」との考えを示した。
「新しい資本主義」をけん引し、民間の挑戦を後押しする商工会議所活動については、「中小企業の自己変革力の育成」と「地域経済の好循環を生み出す魅力ある地域づくり」の2点を強調。国の果たすべき役割については、「取引適正化の徹底」「エネルギーの安定供給」「潜在成長率を底上げする成長戦略の実行」の3点の重要性を指摘した。
今年で創立100周年を迎えた日商については、「商工会議所自らも時代に即した変革を果たすべき」と述べ、「地域とともに、未来を創る」との理念の下、「自己変革に果敢に挑戦する中小企業などを一丸となって支援していきたい」と述べた。
総会では、西村康稔経済産業大臣がビデオメッセージで、円滑な価格転嫁の実現、資金繰り支援の拡充と収益力改善・再生・再チャレンジの加速など、中小企業・小規模事業者への支援に万全を期す考えを表明。強靱(きょうじん)で柔軟な経済を構築し、経済を成長軌道に乗せていくため、デジタル、グリーンなどの分野で、「社会課題の解決を成長のエンジンにするべく、大胆に成長投資を拡大していく」と述べた。
また、自由民主党の茂木敏充幹事長、立憲民主党の泉健太代表、日本維新の会の馬場伸幸代表、公明党の山口那津男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表が来賓としてあいさつ。総会議事では、「2021年度事業報告(案)」と「同収支決算(案)」が異議なく承認された。
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