ロシアのプーチン大統領がウクライナに対して理不尽な戦争を始めて以来、7カ月以上が経過した。西側の国々はこの暴挙を許してはならないとして経済制裁を科したが、短期的にはあまり効いていないようだ。
▼ロシアの外貨収入はエネルギー価格の高騰によって、昨年より増えている。また、通貨のルーブルは制裁が発表された直後は一時的に下落したものの、その後、貿易の決済はルーブル建てを要求した大統領令後はむしろ高くなっている。
▼ロシア軍は、また、ドニプロ川に面した欧州最大のザポリージャ原子力発電所を占拠し、対岸のウクライナ軍との戦いに盾として利用している。
▼もし、同原発がメルトダウンを起こしたりすると、ウクライナはもとより、風向き次第では、周辺のロシア、ルーマニア、ポーランドの国々にも放射能汚染が広がる。
▼核の番人である国際原子力機関(IAEA)はグロッシ事務局長ら核の専門家に現地調査をさせ、2人のIAEA職員を同原発に常駐し監視するようになった。
▼プーチン氏はウクライナとの戦争に反対する人を投獄するなど国民を締め付けるとともに、国民に戦争の真実を知らせないよう情報統制を敷いている。
▼一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、当初、2月24日のロシアの侵攻以前の国土を取り戻せばよしとしていたが、最近はクリミア半島の奪還まで口にし、東部や南部でウクライナ軍の反転攻勢にも成功している。
▼一方、ロシアでは、9月12日までにモスクワやサンクトペテルブルグの18カ所の区議会でプーチン氏の大統領の辞任要求の決議がなされた。このような動きがロシア全体に広がり「プーチンの戦争」が一日も早く収束してもらいたいものだ。 (政治経済社会研究所代表・中山文麿 9月15日執筆)
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