日本商工会議所の江頭敏明社会保障専門委員会委員長は10月24日、厚生労働省に伊佐進一副大臣を訪ね、日商・東商で取りまとめた「医療・介護制度の見直しに関する提言」を手交し、提言内容の実現を求めた。提言では、社会保障制度を持続可能な形で維持していくため、自助・共助・公助のあるべき姿に焦点を当てた制度の再構築が不可欠との認識を提示。改革の大原則として、負担能力に応じた受益者負担の必要性を強調するとともに、自助に必要なヘルスリテラシーの向上、医療機関の機能分化や連携、DX推進の必要性などを求めている。
(末尾参照)
江頭委員長は、伊佐副大臣に提言を直接手渡すとともに、主な保険料の負担者である現役世代と事業者の立場から、「負担と給付の合理的な見直し」「医療・介護の質の維持・向上」「健康で安心な暮らしを守る関係者の連携促進」の3点の重要性を強調。負担については、年齢にかかわらず「受益者による応能負担」にすべきという考え方を改めて示した。
医療・介護の質の維持・向上については、DXの促進、個人の健康・医療データに関する情報プラットフォーム構築、電子カルテの完備、活用基盤となるマイナンバーカードの完全普及、介護・支援人材の確保支援などを要望。また、健康経営のさらなる普及促進や地域活性化にもつながる健康増進策の推進も求めている。
医療・介護制度の見直しに関する提言
~持続可能な提供体制・保険制度の構築に向けて~
(提言項目)
1.負担と給付の合理的な見直し
(1)高齢者においても負担能力に応じた自己負担割合の引き上げを
(2)介護保険制度にかかる被保険者・受給者範囲は現状維持を
(3)介護施設利用者と在宅介護世帯との公平性確保を
(4)地域支援事業の適用拡大による給付の見直しを
(5)介護ケアマネジメントへの利用者負担の導入を
2.医療・介護の質の維持・向上
(1)健康・医療・介護を包含した情報基盤の確立・活用を
(2)医療・介護の現場・事業者の生産性向上支援を
(3)介護分野のDX促進のための資金など支援を
(4)介護人材・支援人材の確保支援を
3.健康で安心な暮らしを守る関係者の連携促進
(1)「かかりつけ医」の制度化、医療機関間の機能分化・連携を
(2)具体的メリットを提示しての健康経営の普及促進を
(3)地域活性化にもつながる健康増進策の強力な推進を
(4)ヘルスリテラシー向上のための情報開示を
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