日本・東京商工会議所総合政策委員会(委員長=小林栄三特別顧問)はこのほど、「総合政策委員会報告書―地方創生の実現に向けたこれまでの取り組みと今後―」を公表した。
報告書は、2018年に取りまとめた「商工会議所発!地方創生(地方創生白書)」後の地方創生をめぐる主な動きを五つの時間軸で整理し、今後の地方創生の方向性も提示。また、6月に全国515商工会議所を対象に実施した「地域における地方創生の取り組みに対する評価等アンケート」結果や各地の好事例も紹介している。
地方創生の動きについては、機運が盛り上がった「草創フェーズ」「拡大フェーズ」の後に、新型コロナで環境が激変。その後の流れを「変容・転換フェーズ」「振り返りフェーズ」を経て、岸田政権の進める「デジタル田園都市国家構想」に継承された「再出発フェーズ」に整理した。
地域における地方創生・地域活性化の進捗・成果についてのアンケート結果では、「大いに評価できる」「ある程度評価できる」を合計すると61・2%となり、プラスの評価は6割超。一方で、「あまり評価できない」「全く評価できない」は合わせて22・4%、「評価対象となる動きがない」は5・2%という結果となった。
プラス評価の要因としては、「結婚、出産、子育て、教育などの支援策」が41・2%で最多。次いで「ビジョンの地域の中での共有」(39・2%)「地域資源の徹底活用(あるものさがし)」(39・2%)の順で多い結果となった。このうち、「ビジョンの地域の中での共有」は、マイナス評価でも、「評価対象となる動きがない」においても回答割合が多く、「地方創生・地域活性化の取り組みにおいて非常に重要であると考えられる」と分析している。
今後の地方創生の方向性についてのキーワードとして、「『競争から共創へ』という意識変革・行動を全国に広げていかねばならない」と指摘。改めて浮き彫りになった点として「地域住民・企業が地域の将来像について共通のビジョンを持つことの重要性」を示し、「安心安全で心豊かに働き暮らせるまち」の実現を共通目標として、身の丈に合った事業・活動に取り組むことが求められるとの見方を示した。
国の施策などについては、「国家目標が、全国民が目指すべきビジョンとして本当に共有できているか、一層丁寧な説明が求められるとともに、必要な政策は果断に実施すべき」と主張。商工会議所としても、起業・創業・スタートアップ支援など「生み出すこと」に力を注いでいくことが重要との見方を示した。
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