政府は11月28日、第13回新しい資本主義実現会議(議長・岸田文雄首相)を開催し、「スタートアップ育成5か年計画」と、中間層の所得拡大を目指す「資産所得倍増プラン」を決定した。会議に出席した日本商工会議所の小林健会頭はスタートアップ育成5か年計画について「意欲的な政策パッケージ」と評価。計画の着実な実行により、日本をアジア最大のスタートアップハブにする考えを示した岸田首相は、「スタートアップへの投資額を2027年度には10兆円規模と現在の10倍増にする」との目標を明示した。
小林会頭は、スタートアップ育成について、「典型的な起業独立型のものに限らず、第二創業や社会的起業などへのチャレンジを促すことが重要」と指摘し実効性を上げるためには、「各地域で産学官金などの連携による実践的な起業エコシステムを構築することが不可欠」と述べた。
資産所得倍増プランについては、「iDeCo(イデコ)に限らず、個人資産を増やす投資機会となる確定拠出年金(DC)は、中小企業においてもさらなる普及が課題」と指摘。また、中小企業における従業員の資産形成支援のための制度整備が促進されるよう一層のインセンティブの拡充強化などの検討を求めた。
岸田首相は、今回取りまとめたスタートアップ育成5か年計画について、「全体像と5年間の具体的なロードマップを示したもの」と説明。「人材、資金供給、オープンイノベーションの3本柱を一体として推進し、スタートアップへの投資額を2027年度には10兆円規模と10倍増にすることを目標にする」と強調した。
分厚い中間層を形成するため、家計の金融資産所得拡大を目指す「資産所得倍増プラン」については、NISA(少額投資非課税制度)の拡充・恒久化のほか、iDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革などの取り組み推進に意欲を表明。具体的には、投資経験者の倍増を目指してNISA総口座数を5年間で3400万へ倍増させるとともに、買付額については、現在の28兆円から56兆円へと倍増させる目標を示した。
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