※名称・肩書は当時のもの
日本商工会議所の三村明夫会頭はこのほど、任期を満了し退任した。三村会頭は岡村正会頭の後を受けて、2013年11月21日に第19代日商会頭に就任後、3期9年にわたり、会頭就任時に掲げた「新たな日本再出発の礎を築く~絶えざる進化によりさらなる飛躍を~」の実現に向け活動を展開。「現場主義」「双方向主義」を行動の基本に掲げ、中小企業の活力強化・生産性向上、地方創生に取り組み、大きな成果を上げた。三村会頭の軌跡を写真とともに振り返る。
三村会頭は、就任後すぐに東日本大震災の被災地を相次ぎ訪問。9年の任期中、毎年、被災地域を訪れて現場の生の声に常に耳を傾け、寄り添いながら、復興に必要な支援策を政府に粘り強く働き掛け、その多くが実現した。政府のさまざまな重要会議にも出席し、地域の声、生の声を施策に反映した。例えば、経済産業省「価値創造企業に関する賢人会議」の座長として、大企業と中小企業の共存共栄関係の構築に向けて「取引価格の適正化」「サプライチェーン全体での付加価値向上」の重要性を訴えた結果、政府の「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において、「パートナーシップ構築宣言」の創設という形で実現。その後、自らが先頭に立って、政府・全国の商工会議所と共に運動を展開し、22年には宣言企業数が1万5000社を超えるなどの成果を上げた。
また、商工会議所一丸となった強い働き掛けにより、18年度税制改正で、自社株を贈与・相続する際の税負担を実質ゼロにする「法人版事業承継税制」の抜本拡充も実現させた。コロナ禍にあっては、社会経済活動と感染拡大防止の両立に向けた環境整備を強く求めるとともに、全国の商工会議所と連携してワクチンの職域接種を実施した。
さらに、政府の「選択する未来」委員会会長として、人口減少問題の克服に向けた対応を主導し、国として「50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持する」数値目標を掲げ、総合的な対策を提言。そのほか、TPP、地方創生、社会保障、規制・制度改革、エネルギー、雇用・労働政策など幅広いテーマで政府に意見具申し、多くの商工会議所の要望を実現に結びつけた。
わが国経済界のリーダーとして民間外交も積極的に推進。経団連などと合同訪中団を実現させたほか、自身を団長とするアジア各国へ大型経済ミッション派遣や日豪経済委員会などの二国間委員会を通じた各国との経済交流拡大に貢献した。
19年には天皇陛下御即位奉祝委員会会長として、天皇陛下のご即位をお祝いする「国民祭典」を皇居前広場などで挙行。22年には、天皇陛下のご臨席を仰ぎ、日商創立100周年記念式典を開催するなど、「地域とともに、未来を創る」をスローガンに、年間を通して記念事業を実施した。
※月刊石垣2022年12月号に掲載された記事です。
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