庄原商工会議所(広島県)は、県立広島大学や庄原市、三次市、広島県・島根県の12の農業従事者など産学官で連携し、2021年から県境に位置する中山間地域で、AI(人工知能)を活用したスマート農機のシェアリングサービスの実現に向けた実証実験に取り組んでいる。シェアリングサービスの確立で農機導入費の削減、生産面積や売上高の向上を目指し、人手不足などの課題解決につなげる。
同事業は交通網のシェアリングサービス(MaaS=Mobility as a Service)を農業分野に転用しようとする試みで、AaaS(Agriculture as a Service)と定義。令和3(2021)年度の国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の農業実証プロジェクトに採択されている。
具体的な実験内容は、スマートフォンでアクセスできるクラウド上の新システム(AaaSプラットフォーム)に生産者や農機の情報を登録し、農機の稼働状況や料金などを管理するとともにAIが複数の生産者間で農機を効率よくシェアするためのマッチングを行うもので、「県を超えた広域大型経営連携」「隣接市間での多品目連携」「集落間の米麦輪作体系の連携」の三つのモデルを管理している。農機は、無人走行できるトラクターや収穫しながら収量・食味などのデータが取れるコンバイン、肥料散布や作物の生育状況を観測できる農業用ドローンなどを導入した。
同地域では、農業従事者が減少。新規に就農するにも農機具の導入コストなどが壁になっており、こうした課題解決を目指して実験を開始した。農機具をシェアする仕組みの確立により、農機導入コストの削減、効率化による生産面積・売上高の向上が期待されている。
実験期間は22年度までの2年間。同所は、19年から産学官連携によるスマート農業化の取り組みを実施し、今回の事業は、第1回(キャベツ農場の経営スマート農業化)、第2回(搾乳ロボット併用のハイブリッド酪農)に続く3回目。
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